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「氷柱(つらら)の声」(くどう れいん)

氷柱の声

東日本大震災が発生してから10年。東京に居た私は職場から当日帰れず、その後しばらく物不足に悩まされた程度だったが、それでもこれから世の中がどうなっていくんだろうと漠然とした不安を持ったことを思い出す。それも年月が経つにつれて毎日の生活に紛れて少しずつ忘れてしまうが、ニュースや書籍などで当時のことを知ることで当時のことをまざまざと思い出す。決して良い記憶ではないが、だからといって忘れてはいけない記憶でもあるなと思う。

盛岡在住の歌人くどうれいんさんは素敵な言葉を紡ぐ方で、一つ一つの言葉がとても軽やかで印象的だ。今まで2冊のエッセイをだされているが、初めての小説となる「氷柱の声」は芥川賞候補作にもなった素敵な物語だ。

物語の主人公は、東日本大震災が起きたとき高校生だった伊智花。美術部に所属する彼女は、絵を描くことを通じて望むと望まざるとに関わらず震災に向き合うことになる。それからの10年の間、震災に関わったいろいろな人と伊智花は知り合い、その人たちを通じて自分自身の震災への関わりについて考えていく。 

東日本大震災から10年後経ち、今度は世界的にパンデミックが発生しているが、そこまでの記憶を丁寧で素敵な言葉を使って綴っている一冊だ。東日本大震災を題材とし、震災に関連した人々の辛さや切なさなどが描かれていながらも、暗さや重さを感じさせない内容となっているのは、やはり著者の文書力と素敵な言葉の使い方があってからこそだろう。読み終わった時に、心の中に温かいものが残る素敵な一冊だった。

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