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「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」(青柳碧人)

先日、近所のショッピングモールに出かけた時に、お母さんと一緒に来ていたまだ3~4才ぐらいのお子さんがグズっていた。眠いのか退屈なのか分からないが、泣きながらお母さんに向かって怒っている姿を見て、幼い頃の我が子を重ね合わせ「お母さんもたいへんだな」と思った。

すると、お母さんがおもむろにスマホを取り出して、さささと操作するとお子さんにハイと渡し、お子さんはそれを受け取っておとなしく見出した。スマホに映っていたのは昔話の動画だったようだ。

息子が幼かった20年近く前は、小さな絵本を持ち歩いて読ませたり、時には読み聞かせをするのが当たり前だった。それが今ではスマホひとつでたくさんの種類の昔話を見せてあげられるのだから、それが良いかどうかは別として、便利な世の中になったもんだなと思った。そう思うこと自体が歳を取った証拠なのだろうが、デジタル化は子育ての細かい部分まで及んでいると言うことだろうし、コストもかからなくなってきたんだなと隔世の念を禁じえなかった。

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

青柳碧人さんが書かれた「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」は童話を元ネタにしたミステリー連作短編集だ。前作の「むかしむかしあるところに、死体がありました。」が本屋大賞の候補作にノミネートされるほど話題となったが、今回もまたグイグイと引き込まれる面白さだった。

前作は桃太郎など日本の昔話を題材にしていたが、今回は赤ずきんちゃんなどの西洋童話がベースとなっている。また、前作とは異なり赤ずきんが全編を通じて主人公となっており、シャーロック・ホームズばりの推理を働かせるというのも面白い。

クッキーとワインを持って旅に出た赤ずきんが旅の途中で「シンデレラ」や「ヘンゼルとグレーテル」、「眠り姫」や「マッチ売りの少女」と出会っていくのだが、それぞれの物語に出てくる有名な道具やエピソードが殺人などのトリックとして使われている。例えばシンデレラのガラスの靴。足にピッタリな点は、原作とはまた違った意味で鍵となっているという具合だ。

そして、「なぜ赤ずきんは旅をしているのか」という謎が全編を通じて縦軸に入っているのも興味深い。わくわくドキドキしながら、あっという間に一気読みしてしまった一冊だ。

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

  • 作者:青柳 碧人
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)