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「青い鳥、飛んだ」(丸山正樹)

正義感が強いのは良いことで、正しいことを正しいと言えるのは素晴らしいことだ。長いものに巻かれっぱなしの私から見れば、正義感が強くて真っすぐ生きている人には感服する。一方で、昔から何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」と言うように、正義感が強すぎるのも考えもので、時として行き過ぎた正義感は人を傷つけることもあるので注意が必要だ。善と悪の区別は表裏一体で、一方から見ると正しいことでも他方から見ると間違っているということも多々あって、さらに「物事の裏側に隠されている事柄」によって判断が変わることもあるからだ。だからこそ、物事の善悪を判断するのには慎重にならなければならないのだと思う。

青い鳥、飛んだ

丸山正樹さんの書かれた「青い鳥、飛んだ」は、正義感が引き起こした不運な出来事や、SNS社会の怖さ、世の中の不条理や理不尽な出来事が題材となった物語だ。

 大手フランチャイズ加盟のコンビニ店主・柳田克己は、「万引き犯など最低の人間」という信念を持ち、「万引きをさせない」のではなく、決して見逃さず「捕まえる」ことにしていた。 ある日、克己は菓子パンを万引きした男を捕まえようとしたが、もみ合ううちにその男を死亡させてしまう。 そして克己は逮捕され、人生は暗転していく。 一方、児童養護施設で暮らしていた頃に万引きで捕まった過去を持つミチル。 彼女はバイトを掛け持ちしながら必死に一人で生きていたが、コロナ禍の「シーセッション(女性不況)」で仕事を次々に失い、現在は違法メンズエステ店で働いていた。 必死に生きながら、自分の夢の実現を目指す彼女は時折思うことがある。 あの日、捕まっていなければ。 そんな二人が、ある事件を契機に巡り会うことに……。

現代はSNSによって色々な情報があっという間に拡散され、さらに悪意を持った編集などによって誤った情報が流れてしまうことがある。また、ちょっとしたことで人生の歯車が狂ってしまうことや、逆に偶然の積み重ねによって狂った歯車が元に戻ることもある。そんな世の中の様々な題材が盛り込まれたこの物語は、いつ自分に災難が降りかかってくるかもしれないという怖さと、災難のなかで強く生きていくことの大切さを教えてくれる一冊だ。

丸山正樹さんはNHKのドラマにもなった「デフ・ヴォイス」シリーズを書かれた方だが、その後も社会の理不尽さや危うさを題材にした物語を継続的に書かれている。そういった題材を扱っているにもかかわらず、どの物語も読後に温かい気持ちになることが出来るのは、作者の丸山さんの人々を見る目が温かいからだろう。色々な世代の方に読んで欲しい一冊だ。

青い鳥、飛んだ

青い鳥、飛んだ

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