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「手話だからいえること 泣いた青鬼の謎」(丸山正樹)

映画や小説で「スピンオフ作品」という言葉を時々聞く。スピンオフ作品とは、映画やドラマ、小説などの人気作品から派生した物語で、脇役だった登場人物が主役となって活躍するという内容だ。アニメでは「ミニオンズ」や「ペンギンズ」が有名だが、本編を見ていて心に残る登場人物だからこそのスピンオフ作品なのだなと思う。

小説でも同じようにスピンオフ作品はたくさん出ていて、自分自身がこころに残っている登場人物がスピンオフ作品として登場すると、何だか自分のことにように嬉しくなってしまうのは私だけだろうか。

手話だからいえること 泣いた青鬼の謎

丸山正樹さんが書かれた「手話だからいえること 泣いた青鬼の謎」は、「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫)」など「デフ・ヴォイスシリーズ」からのスピンオフ作品であり、「水まきジイサンと図書館の王女さま」に続く児童書の第2弾でもある。「デフ・ヴォイス」はコーダ(聴覚に障害のある親のもとで育った聞こえる子ども)の手話通訳士である荒井尚人が主人公の物語。聴覚障害だけではなく社会の歪みや理不尽さを描いた傑作だが、主人公である荒井の再婚相手の子ども「美和」が主人公のスピンオフ作品だ。

美和の仲良しの英知も「デフ・ヴォイスシリーズ」に登場する少年で、場面緘黙症という「人前などでは声を出して話すことができない」という特性のある子どもだ。英知は美和とは手話で会話をしているが、英知が転校した後は手紙でやりとりを始める。文字を書くことが苦手な英知は、細かい描写の絵を描いて美和に送ってくれるので、美和も英知からの手紙をいつも心待ちてしていた。しばらくして、妹が生まれたことによって自分の本当の父親ことを考え始めた美和は、幼い頃の豆まきのことを思い出すようになるが。。。

児童書ながら手話でのコミュニケーションの重要性や親子の絆、ろう者を取り巻く環境のことなど「伝えるべきだが伝え方が難しいこと」がさりげなく盛り込まれている作品だなと感じた。

手話を学んでいると、何のために手話を覚えて活動しているのか悩んだり迷ったりすることがある。そんな時に「デフ・ヴォイスシリーズ」を読むと原点に帰れるのだが、この児童書もまた同じように色々な気づきを与えてくれるシリーズだ。児童書ながら大人にもぜひ読んで欲しい1冊、いや前作と合わせて2冊だ。

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