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秋の夜長にこの一冊!「夫よ、死んでくれないか」(丸山正樹)

好きな作家さんの書籍が発売されるとすぐに買って読むのだが、好きな作家さんであればあるほど、素敵な内容であればあるほどブログでのご紹介が遅くなってしまう。それは、どんなに素晴らしい内容だったかを書こうとすればするほど、自分の文章力と語彙力の無さを痛感してしまい、紹介文が書けなくなるという困った状態に陥ってしまうからだ。私のブログ記事ごときで売れ行きが変わるものではないのだが、そうは言っても最大限の言葉で賛美したいと思うのがファン心理だと思うのだが、皆さんはいかがだろか。

今回読んだ一冊も、そんな「自分自身の語彙力の無さ」を恨んでしまうような素敵な一冊だった。

夫よ、死んでくれないか

ご紹介させていただくのは、丸山正樹さんが書かれた「夫よ、死んでくれないか」という一冊。丸山さんはCODA(耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子ども)の手話通訳士を主人公とした「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」で有名な作家さんだが、新作は今までとは全く異なる傾向と展開の物語だった。

大学の同級生で大の仲良しだった麻矢、璃子、由里香の3人は、卒業後には疎遠になっていたものの、三十代半ばになって璃子の離婚騒動をきっかけに再び集まるようになった。それぞれ、バツイチ、家庭内別居、夫の精神的DVなど立場は違えど夫への不満という点で共通するののある彼女たちは、時々集まっては最後に「うちの夫、死んでくれないかしら」と嘆くことが多くなった。主人公の麻矢も夫との生活に行き詰まりを感じていたが、その夫が突然姿を消してしまう。夫は何かの事件に巻き込まれたのか、あるいは自分の知らないうちに不倫をしていたのか。友人の家庭で起きた暴力沙汰などが絡まって、事態が二転三転する中で麻矢は夫のことを何にも知らないことに今更気づく。自分は、夫は、友人たちはどうなっていくのか。読み始めたら一気読み必須の一冊だ。

著者ご本人は”あとがき”の中で「これまでの作品と共通するものを感じていただけるに違いない」と書かれているが、確かに著者の社会に対する問題意識の持ち方や考え方などは共通しているなと感じた。それは、前述のデフ・ヴォイスシリーズと同じように、社会弱者に関する哀しさや憤りのようなものに着目されていて、それを読者に投げかけながら読者自身はどう思うのかを突きつけられるような感覚を受けた。

それでもやはり、文章のテンポというか流れのようなものがこれまでは全く異なっていて、良い意味で別な作家さんが書かれた作品かと思わされるような感覚を持った。丸山さんファンとしてはどちらのタイプも大歓迎で、今後の新作がますます楽しみになってきた。

なお、「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」はいよいよNHKでドラマ化されることになったのだが、その話はまた別な日にご紹介させていただきたい。

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