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「終活中毒」(秋吉理香子)

「終活」という言葉は2010年の新語・流行語大賞にもノミネートされて世の中に広まり、今ではすっかり定着してきた。この言葉が使われ始めた当初は「死ぬ時の準備するのは縁起が悪い」と敬遠する方も少なからずいたようだが、自分が亡くなった後のことを生前に準備しておくことは、残された家族などのためにも大切なことだとの認識が広まってきているのではないだろうか。

私も数年前に母が、その翌年に父が鬼籍に入ったが、父が実家の処分に関することなどをエンディングノートに書き留めてくれていたおかげで、手間取ることなく対応を進めることができた。また、実家の片付けの最には父や母が若い頃の写真なども出てきて、人それぞれに歴史があるのだなということを改めて感じることができた。

終活中毒

秋吉理香子さんが書かれた「終活中毒」は、終活をめぐる悲喜こもごもが綴られた短編集だ。

余命を宣言された資産家の40台女性は、年の離れた若い夫とともにSDGsに余命をつぎ込んでいき、交通事故で妻を失った60台男性は、喧嘩別れをして疎遠となっていた息子が実家に戻ってきてリフォームの話を進める。また、知人の有名作家の形見分けを受けた女性作家は、フロッピーの中に未発表の作品を見つけて悩み、癌による余命を宣言されたお笑い芸人は、グランプリの優勝を目指してひたむきに芸に打ち込む。

どの話も様々な伏線が話の中に盛り込まれていて、その伏線を回収していく過程で人の優しさや残酷さ、哀しさや嬉しさなどが浮き出てきて思わずのめり込むように一気読みしてしまった。

秋吉理香子さんの作品は怖い内容が多いというイメージを持っていたが、今回の作品はミステリー仕立てながら心に響く素敵な話がいくつも入っている。もちろん、背筋がゾッとするような話も入っているが、それらも含めて「就活」や「老い」、そして「生きる」ということを考えさせられる素敵な一冊だ。

終活中毒

終活中毒

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