子どもの頃、実家が文房具屋だったので、小学校の高学年になると放課後や休みの日などに時々店番をしていた。場合によっては私一人で店番をしている時間帯もあり、いま考えるとのどかというか平和な土地柄であり時代だったのだと思う。店番といっても九州の田舎町にある小さな文房具屋なので、時間帯によっては1時間も2時間もお客さんが来ないということはざらにあった。そんな時には文房具の並んだ棚を整理したりするのだが、鉛筆がずらりと並ぶ棚は木の香りが漂っていて心地良かったことを思い出す。
トンボ鉛筆が限定セットを販売
鉛筆を中心とした文房具を製造・販売しているトンボ鉛筆は、ロングセラー商品の「8900番」鉛筆の限定商品を販売する。「8900番」が黄色いダース箱になって70年を迎えたことを記念した商品で、缶ケース入りのから「トンボ鉛筆8900番 70周年限定セット」という商品だ。
限定商品の8900番鉛筆(HB)には「THE JAPANESE CLASSIC 70th ANNIV.」と刻印されており、70年前に使われていた黄色い紙製ダース箱と同じ意匠の缶ペンケースに6本入っている。また、8900番鉛筆の歴史などを紹介するミニリーフレットや、ケース保護用の紙スリーブも付属している。
発売開始は1月21日からで、価格は890円(税別)の予定だ。鉛筆を使うことが少なくなってきたが、資格試験の時などには鉛筆が必須なのでワンセット持っているのも良いなと思っている。
懐かしの8900番鉛筆とは
トンボ鉛筆は1913年(大正2年)に創業した会社で、昭和に入ってすぐにトンボのマークを商標にした。トンボのマークの鉛筆は、今でもロングセラー商品として世の中に流通しているのはご存じのとおりだ。
その中でも、8900番は第二次世界大戦が終った1945年の秋に生産が再開された新製品だ。終戦後すぐに生産が再開されただけでもすごいことだが、この鉛筆の性能もすごかったようだ。微粒子加工を施された芯は品質が良く、設計製図などの精巧な描写に使用される高級鉛筆だった。
発売3年後の1948年に黄色いダース箱とオリーブグリーンの軸色となり、その後70年にわたって同じ意匠を踏襲してきている。それだけ優れた性能の鉛筆であり、優れたデザインだということであろう。