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「蔦屋」(谷津 矢車)ー2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の原作

幼い頃から漫画好きで、ひらがなもカタカナも漢字も漫画で覚えたと言っても過言ではない。その後、父親が本好きだったことも影響して本好きとなり、小学生の頃から図書館の本を片っ端から読んでいた。小学生の頃に両親に買ってもらえるのは「伝記」や「名作」などだったが、好きなジャンルはSFや冒険物だったので、そういった本は図書館で借りては繰り返し読んだものだ。

当時、叔父が遠くの町で書店を経営していたので、家族揃って遊びに行った時には店内の本棚を見て歩くのがとても楽しみだった。それほど大きくはない書店だったが、本好きの私にとっては憧れの場所で、「自分の家が書店だったら毎日好きな本が読み放題だな」と思ったものだ。それもあって、今でも書店に行って本のにおいを嗅ぐと、時々叔父が経営していた書店のことを懐かしく思い出す。

蔦屋 (文春文庫 や 72-3)

谷津矢車さんの書かれた「蔦屋」は、江戸時代の出版江戸の出版プロデューサー蔦屋重三郎の波瀾万丈な人生を描いた物語で、来年2025年の大河ドラマ「べらぼう」の原作でもある物語だ。

寄る年波には勝てず、店仕舞いしようとしていた地本問屋・丸屋小兵衛のもとを、才気迸る若い男が訪ねてくる。この店に毎年二十両払うから、雇われ人となって自分を手伝ってほしい、という申し出に面食らう小兵衛。「一緒にやりませんか。もう一度この世間をひっくり返しましょうよ」 その男こそ、吉原随一の本屋、飛ぶ鳥を落とす勢いの蔦屋重三郎だった。

飲むときはとことん飲み、遊ぶときはとことん遊ぶ。商売の波に軽々と乗り、つねに新しいものを作りたい、と意気込む重三郎。重三郎の周りには、太田南畝、朋誠堂喜三二、山東京伝、恋川春町ら売れっ子戯作者や狂歌師が出入りするが、腐れ縁の絵師・喜多川歌麿には、特別な感情をもっている。

やがて松平定信による文武奨励政治が始まると、時代の流れは予期せぬ方向へ。 蔦屋重三郎の型破りの半生を、父親ほども年が離れた小兵衛を通して描く。最強バディが江戸の街を闊歩する、極上エンターテインメント小説。

物語に出てくる「地本問屋」とは、江戸時代に絵入り本(地本)を出版・販売していた本屋のことで、出版社と書店が一つになったような店舗のことだ。出版されている本を販売するのではなく、自分で企画して作家に原稿を依頼し、挿絵を絵師に依頼し、出来上がったものを刷り師に出して印刷を行い店頭に並べるというものだ。自分で企画して販売を行うため、企画が当たれば大儲けをするが当たらなければ大損をするという商売だったようだ。

物語の主人公である蔦屋重三郎は、吉原出身の野心家で出版に関する勘が冴えている人物。その重三郎が発掘した作家や絵師は、現代でも語り継がれるぐらい有名な人ばかりで驚かされる。また、重三郎が活躍していた江戸時代はお上の意向で庶民が泣かされることも多かったようだが、出版や販売の方法やお上の意向に翻弄される様は、現代の商売や世相にもつながるものがあって興味深い。

重三郎の稀有な才能と人柄が存分に感じられる物語で、秋の夜長に一気読みさせられた素晴らしい一冊だった。

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