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「カラスの親指」(道尾秀介)

人に騙されたり嘘をつかれたりするのは、とても悔しいし悲しい。程度の差こそあるものの、自分が原因で失敗したことよりも悔しくて悲しいことが多く、何年経っても何十年経っても忘れられないこともある。

逆に、自分がこれまで、誰も騙さず誰にも嘘をついたことがないかというとそんなことはなく、意識してか無意識か、故意か過失かは別にして、大なり小なり周囲に迷惑をかけてきたことは事実だ。そこに大きなお金が絡むと大事件となり犯罪となるのだが、幸いこれまでそのような事件を起こしたことも巻き込まれたこともないのは幸いだ。

最近ではインターネットの世界でも詐欺やフェイクニュースが横行しているが、そういう意味では昔に比べて騙される機会が増えてきているかもしれず、何が本当で何が嘘なのか分かりにくい世の中になってきているなと思う。

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

道尾秀介さんが書かれた「カラスの親指 by rule of CROW's thumb」は、詐欺を働く中年二人組が主人公の物語だ。

人生で数々の失敗をして詐欺を働くようになった二人は、古典的な手口で少額のお金を巻き上げるという日々を送っていた。主人公のタケは会社員として勤めていたが、友人に騙されて借金を背負わされ、さらに妻を失い愛娘さえも失ってしまう。そのタケのもとに転がり込んできたテツも、同じように借金に追われて人生を投げ捨ててきた一人だ。

小さな詐欺を働きながら暮らしていた二人の部屋に、ひょんなことから一人の少女が同居することになった。さらに、同居人は二人増えて子猫まで一緒に住むようになるが、その事で徐々にタケの人生が思いがけない方向に少しずつ動きだし、ついには人生をやり直せるかもしれないという大きな動きに繋がっていく。

この物語の続編である「蛙の小指」が、いつも覗いている書店の平台に並んでいた。それならまずは前作を読んでみようと思い手に取った一冊だが、あまりに面白くて一気に読み終わってしまった。とにかく展開が早くて、次々と事件や新たな展開がやって来るので、読むのを中断する切れ間が見つけられない。さらに、途中途中で小さな「錯覚」や「錯誤」が用意されていて、思わず前のページを見直すことが多々ある。さらには、最後にそれまでの伏線を次々と回収していくような大どんでん返しが待っているので、再び最初からページをめくってしまうことになった。

ラストの胸暖まる感動とともに、意外すぎる結末に思わず天を仰ぐような気持ちにもなった一冊。続編も楽しみだ。すぐに買って読もう。

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