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愛情の深さと怖さを教えてくれる一冊、「たとえば、君という裏切り」(佐藤青南、 栗俣力也(原案))

人の心は分かりにくい。言葉でキチンと伝えられたとしても、それが本当のことだとは限らない。相手を騙そうと思って嘘をついているかもしれないし、気を使って本音を隠しているのかもしれない。たまに本音をズケズケと言う人に出会うことがあるが、果たしてそれがすべて本音かというと微妙だろう。もしかしたら、弱い自分をガードするために虚栄を張っているかもしれないからだ。

さてそうなると信じられるのは自分だけということになるが、実は自分が一番自分を裏切っているかもしれない。いや、自分の気持ちや感情を抑えたり蓋をしたりすることで、自分にダメージが来ないようにしているのかもしれないのだ。そう考えると、自分を裏切ることは案外悪いことではないのかもしれないし、誰かに裏切られることもまた、自分のことを大切に思ってくれていることの裏返しなのかもしれないと思える。 

たとえば、君という裏切り (祥伝社文庫)

佐藤青南さんが、栗俣力也さんの原案を元に書いた「たとえば、君という裏切り (祥伝社文庫)」という物語は、人を愛することの素晴らしさと怖さを感じさせてくれる一冊だ。

第一話

ライターの早田は、病のために筆を折るというベストセラー作家の鴨志田にインタビューを依頼される。彼女は自分の過去について淡々と語っていくが、あまりにも謎の多いその人生に早田は徐々に疑問を持ちはじめる。

第二話

望月はファミリーレストランでアルバイトをする大学生。アルバイト先に現れる女子大生の小堀に恋をしたが、恋愛経験の少ない望月はなかなか前に踏み出せない。そんな望月を同級生の立花が励まし、徐々に望月は小堀との距離を詰めていく。

第三話

和津は小学校3年生の女の子。公園で知り合った上級生の袴田さんから秘密の物語を聞かせてもらうことで、今まで持てなかった勇気と正義感を持つようになる。クラスでいじめられていた下田さんを助け、二人で袴田さんの話を聞くようになるが、そこに和津のお兄ちゃんが入ってきてしまう。

 

三つの物語はそれぞれに胸が痛くなるような切ないラブストーリーだが、それぞれの物語が時空を越えてひとつになると、そこにはさらに深い愛情が隠されていたことに気がつく。

佐藤青南さんと栗俣力也さんとのコンビは、先日ご紹介した「たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)」と同じだ。物語の原案を栗俣力也さんが練り、作家の佐藤青南さんが内容を膨らませて小説にした作品だ。栗俣さんは数多くのヒット作を作り「仕掛け番長」の異名を持つ名物書店員だけに、こういう物語を読みたいという読者の気持ちを良く分かっている。

この物語も前作に続いて一気読みしてしまったが、二転三転するミステリー要素はこちらの方に軍配があがるだろう。こうなるかもしれないなという予想を、さらに何回もひっくり返してくれる意外な展開がすばらしい。ぜひ読んでいただきたい一冊だ。

たとえば、君という裏切り (祥伝社文庫)

たとえば、君という裏切り (祥伝社文庫)