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「エミリの小さな包丁 」(森沢明夫)

エミリの小さな包丁 (角川文庫)

食べることが好きな私は独身の頃は炊事をするのも好きで、休みの日には材料を買ってきては煮物や焼き物など自炊生活を楽しんでいた。当時は山登りやバイクツーリングが好きだったので、室内でもメスティンというアウトドア用品を使ってお米を炊いていた。家の中でも外でもキャンプをしているようなもので、きちんとした炊飯器を買ったのは結婚してからだった。今から25年ほど前の話だ。

結婚してからは食事はもっぱら妻が作ってくれるようになったが、手際の良さと味の良さではやはり妻には敵わない。時には台所に並んで立って下ごしらえをを手伝うのだが、同じ材料を同じように切っても、おなじ調味料で同じように煮込んでも、どうしても妻の料理の方が美味しいのが不思議だ。結婚して30年近くが経った今では、美味しく食べて、食後の片付けに専念することにしている。食いしん坊なのでありがたいことだ。

森沢明夫さんが書かれた「エミリの小さな包丁 (角川文庫)」は、物語の中で美味しい家庭料理が随所に出てくるという、食いしん坊の私にとっては物語の内容とともに、料理の数々を楽しめた一冊だ。

主人公のエミリは、恋人に騙されて仕事もお金も住む場所も無くなった25才。父は離婚して遠方に新しい家庭を持っており、母は新しい恋人と二人暮らし。兄は外国で働いているので頼る人が誰もいなかったが、兄に教えられて15年ぶりに母方の祖父の家にお世話になることになった。千葉の海辺にある片田舎で一人暮らしをしている祖父大三は、風鈴づくりをしながら静かに暮らしていた。窮地に陥ったエミリを静かに受け入れて来れた大三は料理も上手く、自分で釣った魚や知り合いの漁師からもらった魚、近所の農家から分けてもらった野菜などを使ってカサゴの味噌汁やサバの炊かず飯など、美味しいものを毎日静かに食べさせてくれた。都会の生活で疲れ切ったエミリだったが、大三と一緒に暮らすうちに美味しい料理や素朴な地元の人々との触れ合いの中で少しずつ元気を取り戻していく。

物語の初めに、祖父大三はエミリに小さな包丁を一本渡す。昔から使っている包丁は研ぐことによって少しずつ小さくなってきたのだが、この包丁が物語の最後でちょっとしたことながら温かい意味合いを持っていることに気が付く。そしてなによりも、物語に登場する料理がどれもこれもとても美味しそうで、最後にエミリが一生懸命に覚えた「サワラのマーマレード焼き」などは実際に食べてみたくて仕方がなくなるぐらい美味しそうだった。

読後に心がふわっと暖かくなる、おうち時間をゆっくりと過ごすにはうってつけの一冊だ。

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