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「ルビンの壺が割れた」(宿野かほる)

昨年に引き続き今年も読書量が増えている。それは非常事態宣言などが出ておうち時間が増えたからであり、休日は不要不急の外出を極力避けているからだ。元々出歩くのが好きで夫婦揃って近場を散策したり美術館巡りをしたりするのが好きだったが、逆に家でのんびりと本を読みながら過ごすのも好きなのでさほど苦痛ではない。休日は部屋を少し片付けてパソコン周りのプライベートな作業を行い、昼間は本を読んで夕方になったら2時間程度ジョギングを楽しむというのが最近の休日の過ごし方だ。

夫婦揃ってテレビをあまり観ない生活を若い頃からしているので、おのずと家にいる時間が長くなると読書量が増える。それもあって、週末の会社帰りに書店に寄って本を選んだり、取り置きしておいてもらった本を受け取ったりするのが、これまた最近の週末の習慣となっている。

インターネット通販などが増えてきて街の書店が徐々に無くなってきているが、書店がなくなると生活している楽しみの何割かが無くなってしまうので、基本的には通販では買わずに書店の店頭で選んだりhontoを使って取置きをお願いしている。そうすることで、書店の平台を定期的に見る機会を作ることもできて、思いがけず面白い本や今まで読んだことのない作家さんの本に出会うという楽しみも生まれるのだ。 

緊急事態宣言下なのでのんびりと店内を見て歩くことは出来ないが、レジで取置きの本を受け取る際にぺらっと平台を見ることぐらいは許されるだろう。先日も本を受け取りに行った際に平台に薄い本がドカンと並べられていて、とても魅力的なpopがつけられていたので迷わず購入し読んでみた。書店に足を運ぶとこういった思いがけない出会いがあって良い。

ルビンの壺が割れた (新潮文庫)

行きつけの書店で平台にずらっと並んでいたのは、宿野かほるさんが書かれた「ルビンの壺が割れた (新潮文庫)」という一冊だ。170ページという薄い冊子ながら、表紙の絵柄や文字、そしてなによりも「面白いぞ!」と読者を誘うような帯に圧倒される一冊だ。

実際に店頭に並んでいる帯とAmazonなどの画像で出ている帯とは若干異なるのだが、「大どんでん返し」とか「仕事が手につかなくなる小説だ」というような言葉が目立つ帯だ。個人的には、こういった大袈裟な宣伝文句が書かれた帯を見ると鼻白んでしまい買うことはないのだが、この日は表紙の「ルビンの壺」が妙に気になって購入してみた。

物語は大学時代に演劇部の部長をしていた水谷一馬が、同じ演劇部に所属していた結城未帆子をフェイスブックで見つけ、28年ぶりにメッセージを送るところから始まる。水谷と結城とは28年前に結婚を約束した間柄だったが、いろいろな事情があって結局は結ばれることがなかった。そういった話を中心にして二人のメッセージのやり取りのみで物語は進んでいくが、進んでいくうちに二人の間や周辺に起こった出来事が徐々に違った様相を見せ始め、事態は思いがけない方向に転がって行ってしまう。果たして水谷は結城に裏切られた可哀想な男性だったのか、結城はなぜ何も言わず居なくなってしまったか。メッセージのやり取りだけなのに、非常にハラハラしてしまうような展開がとても面白い一冊だ。

表題となっている「ルビンの壺」とは、心理学者ルビンが考案した有名な図形で、「壺」に見えたり「向き合った顔」に見えたりするという図形のことだ。この物語のストーリーも、一方から見た見え方ともう一方から見た見え方で事実が大きく変わってきて、ラストには意外な結末を知ることになるというなかなか興味深い一冊だった。

ただし、読み人によって評価が大きく分かれる一冊でもあり、そういう意味でも「ルビンの壺」的な物語なのかもしれない。

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