街の書店が次々と閉店しつつある。地域にもよるだろうが、私の生活圏ではここ1年だけでも数店舗が閉店してしまった。本を読む人が少なくなったのか、通販で買う人が多くなったのか、あるいは電子書籍に移行するひとが多いのか原因は様々だと思う。新聞も有料の電子版に切り替える人が増えつつあるようだが、今度は紙版の新聞を簡単にスクラップしてデータ化・管理するアイテムが登場するようだ。
新聞に特化した「AIスクラップ」
アルバムや事務機などの販売を行っているナカバヤシ株式会社が、人工知能(AI)を活用した新聞スクラップ用ペン「CUTPEN(カットペン)」の開発を発表した。併せてクラウドファンディングを使い、開発資金の支援募集も開始している。
https://www.smareco.jp/cutpen/index.html
今回開発される「CUTPEN」はペン自体の開発ではなく、専用のペンとそれを取り込むための専用アプリを含めた名称だ。専用のペンで囲んだ部分をスマホのアプリで読み込むことによって、紙面の情報をデータ化し管理することができるようになる。
また、専用のペンは細くて濃い線を引くことができるため、線が細くてもしっかりとデータを取り込めるようにもなっている。
https://www.smareco.jp/cutpen/index.html
取り込み方法は簡単で、専用ペンで囲んだ紙面をスマホの専用アプリで撮影するだけ。囲んだ部分がアプリ上でカットされ、データとして取り込まれる。
取り込まれたデータは見易く加工されたうえで文字が認識され、重要な言葉を抽出してウェブ上から情報を得られるようにもなる。
https://www.smareco.jp/cutpen/index.html
さらに、取り込んだデータをひとまとめにする機能があるなど、単に紙面データを取り込むだけではなく整理・分類も簡単に行えるようになるようだ。新聞の場合には段組によって文字列が連続していない場合があるが、人工知能を搭載しているため一連の文章として認識することが可能となっている。
クラウドファンディングで開発資金を募集中
ナカバヤシではクラウドファンディングサイト「Makuake」を利用して、開発に必要な資金を募集している。出資額に応じて限定ペンなどが提供されるが、最も安価コースが650円コースで、取り込むための専用ペン1本とアプリを使用するためのID半年分をもらうことができる。
クラウドファンディングというと、ベンチャー企業が資金を集めるために利用されたり、個人で活動する場合の資金集めに利用されることが多い。今回はナカバヤシという大きな企業が利用しているが、広告効果を含めてクラウドファンディングを利用しているのだろうか。クラウドファンディングの新しい形だと思う。
スマホでデータを閲覧できる点が便利
私は名刺をスキャナーで取り込んでevernoteに保存している。保存したデータはクラウド上で文字認識が行われるため、スマホのevernoteアプリから検索をかけるだけで必要な名刺が表示されるようになっている。これが案外便利だ。
今回ご紹介した「CUTPEN」もクラウド上でテキスト化されるため、気になる言葉があれば簡単にウェブで検索を行うことができるようだ。スマホは常に持ち歩く道具だけに、必要な情報をいつでも手軽に取り出すことができる点が便利だ。
一方で、こういった機能を使うためにはクラウド使用料(ID料)を支払う必要があるため、少額とはいえランニングコストがかかることになる。スマホで閲覧できるのはとても便利だが、そういった機能が本当に必要とするかどうかをしっかりと見極めることも大切だろうと思う。