気分はポレポレ よろず情報ブログ

大好きな文房具や書籍、日常のことなどを随時更新中です!

【書籍紹介】「無人駅で君を待っている」(いぬじゅん)

年齢を重ねる毎に、当たり前のことながら人の「死」と向き合うことが多くなる。知人の親御さんが亡くなることもあれば、知人本人が亡くなることもあり、また個人的には両親が共に天寿を全うして数年前に相次いで亡くなった。歳をとるそういった「お別れ」の場が多くなってくるのだが、肉親とのお別れに立ち会う度に「もう少し会っておけば良かった」という反省が少なからず胸に沸き上がってくる。そう考えても詮無いことだとは分かっていても、多かれ少なかれそういった感情は持ってしまうものではないだろうか。

無人駅で君を待っている (実業之日本社文庫)

いぬじゅんさんが書かれた「無人駅で君を待っている (実業之日本社文庫)」は、親友や恋人、父や母など二度と会えない人にもう一度だけ会える。そんな奇跡が起きる物語だ。

静岡県の浜名湖ある静かな無人駅「寸座駅」。 そこには、信じられないような奇跡が起きるというでんせつがある。それは、会いたい人にもう一度だけ会えるという「夕焼け列車」の伝説。雲ひとつない快晴の日に、オレンジ色に染まる夕焼けを見ながら古い木製ベンチ「たまるベンチ」に座り、亡くなった人のことを思いながら心から「会いたい」と願うことで、その願いがかなうというもの。駅の近くにある「カフェテラス サンマリノ」のマスターからその話を聞いた人々が、どうしてももう一度会いたい人のことを思いながら祈ると奇跡は起きる。

事故でなくなった親友に会いたい女子高校生、最愛の妻を無くした若い男性、若い頃に将来を誓った人を忘れられない女性など、それぞれの人がそれぞれの過去と思いを抱えながら「夕焼け列車」の奇跡を待つ。奇跡が起きるというその事よりも、奇跡に繋がるまでのそれぞれの人生があり、その事が奇跡と共に読む者の心に感動を与えてくれるという物語だ。

私が一度だけ亡くなった誰かに会うとすれば、一体誰に会いたいと思うのだろうか。亡くなった父なのか母なのか、あるいは若くして亡くなった友人なのか、またまたこれから亡くなるかもしれない大切な人のためにその機会をとっておくのか。物語の感動とともに、そんなことを考えさせられる心暖まる一冊だった。

にほんブログ村 雑貨ブログ ステーショナリー雑貨へ
いいねと思ったらポチッと応援をお願いします!