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「カスタード 」(加藤 元)”じんわりと心に染みる物語”

サラリーマンの楽しみのひとつはランチ。私のような食いしん坊にとっては美味しいランチが活力になるのだが、午前と午後の気分転換にもなるのでランチ時は案外重要な時間だ。最近では外食ではなくテイクアウトをする人も増えて、お弁当屋さんだけではなく一般の店舗でもお弁当として提供する店も増えた。

大手チェーン店のお弁当屋さんは種類も豊富で味にも安定感があるが、個人のお弁当屋さんにはそのお店独特のメニューやおかずがあって、選んで食べるのがまた楽しい。最近では個人のお弁当屋さんを見かける機会が少なくなったが、大手チェーン店に比べてお店の方との距離が近い事が多くて一言二言話をしながら買うのもまた楽しい。そういうことも含めて「お店の味」になるのだろうし、ちょっとした言葉のやり取りがお弁当の味を何倍も良くするのだろうと思う。何事も総合力が大切だ。

カスタード (実業之日本社文庫GROW)

加藤元さんが書かれた「カスタード (実業之日本社文庫GROW)」は、街のお弁当屋さんを中心とした物語だ。お菓子屋さんのような店名に、ケーキが入っていそうなケースが置いてあるお弁当屋さん。無愛想ながらも「おつり百万円」などと古いジョークを飛ばすご主人と、ほとんど笑顔を見せないクールな女性店員さん。それでも、美味しさに惹かれてお弁当を買いに来る常連さんがいる。ある人は過去の出来事のために毎日を無為に過ごす女性であったり、またある人は母を疎ましく思いながらもその存在に縛られる青年であったりと様々だ。

そんな常連さんにはポイントカードが発行されていて、カードが一杯になると漏れなくお店の飲み物一本とちょっとした「おまけ」が渡される。その「おまけ」の中身は渡される人によって異なっていて、不思議なものばかりだ。しかし、その「おまけ」によって渡されたひとの人生が動きだし、素敵な出会いや展開が訪れるようになる。

これだけでも素敵な話なのだが、最後の一話でお弁当屋さん「カスタード」の由来や「おまけ」の秘密が解き明かされるとともに、ああこういうことだったんだなと、胸の中に暖かいものが流れていく。

加藤元さんの物語は油断ができない。多分こうなるだろうなと思っていること以上の展開となり、想像以上の暖かさに心が満たされる。今回もまた、読ませてもらって良かったなと思える一冊だった。

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