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「事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング」(原田ひ香)

皆さんは、「事故物件」という言葉をお聞きになったことがおありだろうか?事故物件とは、土地・建物やアパート・マンションなどにおいて、事件や事故などで前の居住者が死亡した経歴のある部屋(共用部等を含む)のことだ。ずいぶん前から専用のホームページが運営されていたり、テレビや書籍で紹介されることもあるのでご存じの方も多いのではないだろうか。

いくつかの例外はあるものの、事故物件については次の借り主にその内容を告知する必要があるので、家賃や価格を相場よりも安くするというような対応を取ることが多いようだ。一方で、あえて事故物件に住む人もいるようだが、その理由は家賃の安さや頼まれて住むなど理由は様々だ。事故物件は次の入居者が一定期間住めば告知義務が無くなるので、「頼まれて住む」という人はそういったことが関係しているのだろう。そのためにあえて誰かを住まわせることを「ロンダリング」と言うのだそうだが、いろいろな事情はあるとはいえなかなか出来ることではないなと思う。

事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング (集英社文庫)

事故物件にまつわる人間模様が描かれているのが、原田ひ香さんの書かれた「事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング (集英社文庫)」という連作短編集だ。

物語は「事故物件」に住む人を主人公としていて、住むに至った経緯や理由などを含めて軽快なテンポで物語が展開していく。ある人は実家への仕送りのために、ある人はやむ無く家を追い出され、またある人は自ら家を出て事故物件に住む。物語の主人公は事故物件に住む人から徐々に「事故物件に住まわせる人」達に移っていくのだが、その過程でロンダリングにまつわる様々な思惑が交錯していく。どの物語にもそれぞれの人間模様が描かれていて、題材はシビアな内容ながら心暖まるエピソードがちらばめられているので読後の感覚は決して悪くない。

一つ一つの物語は短編ながら、最後にそれぞれの物語が微妙に関連していくのが連作短編集だ。この物語も最後に大きな謎が生まれてくるのだが、それが何かは明確になっていないので少々疑問を残しながらの結末を迎える。それがさらに読者を考えさせることになるのだが、本書がシリーズ2作目的な物語だということを考えると、もしかしたら3作目が出るのかなとも思わされる。

続編を期待しつつ、まだ読んでいなかった1作目「東京ロンダリング」を現在読んでいる最中だ。

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