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読んで元気をもらえる一冊、「がんこスーパー」(山本甲士)

今日から新年度となり、来月からの元号も「令和」になると発表された。元旦と4月1日は一年の中でも色々な意味で区切りの日だが、桜咲くこの季節は初々しい新入社員や新入学生が街を軽やかに歩いているので、ウキウキとした記文にもなることが出来る。

読書好きとしては気分的に落ち着く秋の読書も好きだが、気持ちが体の外側にバーっと発散されるこの季節の読書も好きだ。そんな季節だけに、前向きで元気が出るような物語を読みたくなるというのも、これから花が咲き乱れて服装も軽やかになっていく時期だからだろう。

そういえば、英会話やヨガなどのスクールも4月に入る人が多いそうだ。学校関係が4月始まりだというだけではなく、4月という月は、春という季節は、何かを始めたくなる季節でもあるということだろう。

また、3月末に定年退職して、4月から新しい人生を歩み始める人も多くいらっしゃることだろう。人生100年時代になり、50代になってもまだまだ若造と思われる昨今。50代だろうが60代だろうが、新しいことを始めるのに遅いということはなさそうだ。

がんこスーパー (ハルキ文庫)

山本甲士さんが書かれた「がんこスーパー (ハルキ文庫)」は、人生捨てたものてはないし正直者は報われるということを感じさせてくれる物語だ。温かみのある登場人物は、さすがに山本甲士さんならではだなと思う。

主人公の青葉一成は、中堅クラスの会社でつい最近営業課長になったばかり。特に取り柄は無いものの、真面目に正直に働いてきた中年サラリーマンだ。ところが、課長になったがために管理職を対象としたリストラを勧告されることになる。それでも、旧友のつてで新たな会社に課長待遇で再就職できることになったが、その会社の社内事情に振り回されて倒産寸前のオンポロなスーパーに派遣されることになってしまった。売り上げを大幅にアップさせる必要に迫られながらも、がんこな店長にはスパイ扱いをされ家族からも冷たく扱われる始末。それでも青葉は、持ち前の真面目さと謙虚さで新たな取り組みを展開していく。

この物語は端的に言うと、小さいながらもサクセスストーリーだ。多少のトラブルは発生するものの、主人公を中心に素晴らしい人々に囲まれて、少しずつながら皆が幸せになっていく様子が素敵だ。

憎らしい悪役が出てきてハラハラする物語も楽しいが、思う通りの展開で次々と良い方向に展開するこの物語も楽しい。世の中捨てたもんじゃないと思わせてくれる展開は、ひょっとしたら自分の回りでも起こるのではないかと思わせられるような、そんな身近なささやかさがまた良い。

人間関係で悩む人の多い現代だが、だからこそ人のご縁や思いやりが丁寧に書かれている物語を読むことは大切だ。こんなことが起きると素敵だなと思わせてくれる一冊であり、こんなことを起こしてみたいなとも思わせてくれる一冊だった。 

がんこスーパー (ハルキ文庫)

がんこスーパー (ハルキ文庫)