カフェには日頃からお世話になっている。出勤前に時間があれば一息ついて、出張先で用事を済ませて一息つくのに利用し、考え事があればポメラを持って文書を叩いたりしている。カフェにはのんびりとしたり一息ついたりといろいろな用途があるが、東京三鷹にあるカフェでは聴こえない人とのコミュニケーションを情報発信しているカフェがある。
オープンで静かな雰囲気のカフェ
JR中央線三鷹駅から徒歩10分ほどの場所にあるのが、聴こえない人が働いている「サイレントカフェ」というお店だ。駅から少し離れているので人混みはなく、近くには太宰治のお墓があるという場所だ。
お店は駅南口から続く道路に面しているが、バス通りなどの主要道路ではないのでそれほど車の通りがあるわけではない。通り側が全面ガラス張りなので店内は明るく、またシンプルな内装でゆっくりのんびりと過ごせるような雰囲気が漂っている。
お店には手作り品が展示販売されているほか、毎月何回かワークショップも開かれていて他のカフェとは少し雰囲気が違う。また、厨房がお店と直結しているため、おいしそうな香りが店内に漂っていてお腹の虫もつい鳴いてしまうぐらいだ。
お店には聴こえない若者が数名働いていて、注文をするときにはメニューを指さして行ったり筆談を行なったりするようになっている。また、レジの台には注文用のカードもあるので、聴こえない人とのやりとりもスムーズにできるよう配慮されていた。
ここでは手話教室などの様々なイベントを定期的に行っているので、手話に興味がある方は参加してみるのも良いかもしれない。また、スペース貸しも行っているので、簡単なパーティーやイベントを行うのも良いだろう。
聴こえない人と交流を持つというよりは、聴こえないと言うことを知るためのカフェとして意味があるのだろうと感じた。
「Silent Cafe(サイレント・カフェ)」
営業時間:11:00AM~19:30PM
定休日:毎週木曜日
※営業時間や定休日はフェイスブックでその都度お確かめください。
聴者がつくる手話関連カフェ
今回訪れた「サイレントカフェ」は、オーナーが聴者で情報発信を行うことを主体としたカフェだ。手話講習会を開催したり聴覚障害に関する情報発信を行ったりと、手話によるコミュニケーションを行う場というよりは情報を発信する場だと言えるだろう。
日常生活の中でろう者と交流する場はなかなか無いので、手話を覚えたいと思っている人や手話に慣れたい人もとっては、気軽に参加できるイベントがあるというのはありがたい。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まってからというもの、再び手話の人気が高まってきている。手話は視覚言語なのでまずは見慣れることが大切だが、手話を普通に使っている空間を聴者が作り上げるという点では「サイレントカフェ」の果たす役割は大きいのではないだろうか。
ありそうでなかなか無い手話関連カフェ
以前、本郷三丁目のカフェ「Sign with Me(サイン・ウィズ・ミー)」をご紹介させていただいたが、東京都内広しと言えども手話を使えるカフェというのは案外少ない。
私が知っている限りでも「Sign with Me(サイン・ウィズ・ミー)」と「サイレントカフェ」、そして新宿の「mimiカフェ」の3店舗ぐらいしか思い浮かばない。カフェ以外では新宿の串揚げとお酒のお店「ふさお」が有名だが、いずれにしても少数派の店舗であることは間違いない。
手話を学んでいる身としては手話を使える空間に身をおくというのは、なかなか貴重な体験だと思うし、そういったカフェが増えることで聴覚障害に対する理解も進むのではないかと思う。これから少しでもそういったお店が増えて、手話に接する機会が増すことを期待したい。