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商品だけではなくノウハウも売る「しまんと新聞ばっぐの作り方」

 高知県を流れる四万十川。 美しい清流と豊かな自然に囲まれたこの地域はカヌー好きやアウトドア好きにとっては憧れ場所。 私も一度は行ってみたい場所のひとつだ。

 四万十川流域の地域活性化は他の地域に比べてとても独創的なのだが、グラフィックデザイナー梅原真さんの発案によるものも多い。梅原真さんは長年高知でデザインの仕事に携わり多くの商品やプロジェクトを成功に導いてきた方で、高知県黒潮町の砂浜で行なわれた「砂浜美術館」の仕掛人としてもは有名な方だ。その梅原さんが発案した商品が、さらに発展して地域の活性化に一役買っている。

新聞紙を利用した「しまんと新聞ばっぐ」

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 「しまんと新聞ばっぐ」はその名のとおり新聞を折って作った買い物バッグ。グラフィックデザイナーの梅原真さんが「商品パッケージにすべてエコ素材を使う訳にはいかないからせめて新聞で包もう」と考え、そのアイディアを元に地元の主婦がこのバッグを考案した。

 地元の企業である株式会社 四万十ドラマも加わり、試行錯誤の末に丈夫でお洒落な新聞バッグが誕生した。商品誕生のプロセスもとても素晴らしいなと思う。

 現在は道の駅でレジバッグとして発売されていたり、ボストンのミュージアムショップに置かれたり、イギリスのポールスミス社から注文があったりと、単なるお土産品としてではなく世界的にも注目される商品に育っている。

商品を売るのではなくノウハウを売る 

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 しまんと新聞ばっぐは四万十とおわ村Webサイトでもされているが、バッグを売るだけではなく四万十ばっぐレシピとして作り方のノウハウも商材として販売されている。物を売るだけではなくて作り方そのものを売るという発想も素晴らしい。

 また、しまんと新聞ばっぐの作り方に関するワークショップも随時開催していて、「自分で作ってみたい!」という方の要望にも応えている。

インストラクター講習会も開催

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 しまんと新聞ばっぐは販売されているだけではなく、2日間に渡るインストラクター講習会を受講することによって、教室を開いたり自作の新聞ばっぐを販売したりするということもできる道も用意されている。

 このインストラクター講習会もプログラムがとても独創的で、ただ単に作り方を教えるだけではなく地域の方々との交流会や、特産品の生産現場を回って地域を知るという時間も用意されている。

 物を売ったり教えたりすることで利益を出すという考え方ではなく、地域活性化のために様々な試作を展開しているという姿勢が垣間見えて、こういった地域活性化の方法もあるんだなと感心した。

 ビジネスモデルを作るのは容易ではないが、独創的であり利益追求だけではないしまんと新聞ばっぐの取り組みは、ゆっくりかもしれないがこれからも確実に広がっていくだろうなと感じた。

モノではなくデザインを含めた”価値”を売る

 とおわ村の取り組みのように、「新聞紙を使ったバッグを売る」というのではなく「作り方を売る」という考え方は面白い。「商品」というといろいろなモノを思い浮かべるが、ノウハウや技術というのも実は立派な商品だ。

 同時にデザインやノウハウを商品とプラスすることによって、「商品価値を高める」ということに取り組んでいるのも特筆すべき点だろう。お金を出せばほとんどのモノが買えたり、100均ショップに行けばモノが安くて手に入る現代だからこそ「商品への付加価値」はとても重要だと言える。

 これからはモノの価値は材料やデザインというだけではなく、商品に込められた想いや物語なども重要になって来るのだと思う。商品を買うことで作り手を応援できるという仕組みもまた、新たなモノづくりに必要なことかもしれないと感じた。