おやこでポレポレ《文房具好きブログ》

大好きな文房具や書籍、日常のことなどを随時更新中です!

デジタル社会の怖さを感じる「ウィザードグラス」(根本総一郎)

電車に乗ると周囲はスマホを扱っている人だらけ。今や当たり前になった光景だ。車内に大勢の人が居るにも関わらず、じっと黙ってスマホの画面を見ている姿はある意味で壮観だ。

私はルート検索やスケジュール確認以外ではあまりスマホを使う方ではなく、電車やバスの中では本を読んでいる方が圧倒的に多い。1ヶ月で1GB未満のデータ使用量という月がほとんどで、個人的にはデジタルデトックス進行中という感じだ。それでも、時々気になる言葉があると検索をかけるし、初めての土地では食事場所を探すのにも便利だ。

一昔前は、何かの情報を探す時には情報誌をめくったり誰かに尋ねたりするしか方法がなかったが、今では手のひらの中にあるデジタルデバイスで検索すれば良いので楽だ。楽だがそこに表示される情報の真偽をきちんと判別できないと、逆に脅威になってしまうのもまたネットワーク社会の怖さだろう。 

ウィザードグラス (双葉文庫)

根本聡一郎さんの書かれた「 ウィザードグラス (双葉文庫)」は、デジタルデバイスで簡単に情報検索が出来るという状況が、見方を変えると実はとても怖いことだということに気づかされる。

 大学生の陽輝は子どもの頃に両親が離婚し、仲の良かった兄とも離れ離れになっていた。子どもの頃は一緒にテレビゲームの対戦をしたり山に入って遊んだりしていた兄だが、両親の離婚とともに父親に連れられてアメリカに渡り、大人になってからもアメリカ企業で働いていた。

それでも数ヶ月前にひょっこりと陽輝の前に現れた兄だが、疲れたような表情を見せてからしばらくして連絡のとれなくなってしまった。そんな兄から突然荷物が届いたが、荷物を開けてみると兄が書いた簡単なメモとともに眼鏡型のデバイスとタブレットが入っていた。タブレットとデバイスを試しに使ってみると、それは他人が検索したサイトの検索履歴を見ることができる「ウィザードグラス」という機器だった。

電車の中で、大学で、その機能を目の当たりにした陽輝は、ネット社会特有の炎上現象や冤罪に巻き込まれていく。さらに、陽輝の予想を超えた大きな流れの中に否応無しに巻き込まれていくとともに、ある日突然身柄を拘束される自体にもおちいってしまう。「ウィザードグラス」はなんのために作られたのか。謎は深まるばかりだ。

根本聡一郎さんは「プロパガンダゲーム (双葉文庫)」という物語でもネット社会の怖さを書かれているが、今回の「ウィザードグラス」も身近に起こりうるような怖さを感じる。物語の展開としては思ったよりも単純明快なストーリーなのだが、それぞれの事件は今すぐにでも起きそうな内容ばかりなのでグイグイと物語に引き込まれてしまった。

実際に流れている情報が果たして真実なのか、それを検証するためにはどうすれば良いのかなど、便利なだけでは済まないのがネット社会なのだということを改めて教えてくれる一冊だった。 

ウィザードグラス (双葉文庫)

ウィザードグラス (双葉文庫)