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「生きていてもいいかしら日記」(北大路公子)、心がほぐれる素敵な一冊

本好きなので、外出すると書店を覗く。そういう方は多いだろう。私もその一人だ。好きな作家さんの最新作を探したり、その書店の特色を出した企画コーナーや平台を覗いたりと、書店の棚を眺めて歩くのはとても楽しい。

書店によって書籍類の陳列方法は様々で、本を紹介するPOPも様々だ。出版社が製作したPOPだけを取り付けているお店もあれば、書店員さん手作りのものを取り付けているお店もある。手作りのPOPが全て良いかというとそうとは言い切れないが、書店員さんの「この本を読んでほしい!」という気持ちが伝わってくるものに出会うと、足を止めてその本を手に取ることが多い。そういう意味でも、言葉というのは力を持っているのだなと思う。

今回もまた琴線に響く言葉に出会い、思わず本を手にとり、とても素敵な一冊に出会うことができた。 

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妻と二人で買い物に出かけた際に、帰り道で何気なく覗いた書店で見かけたのが、北大路公子さんの「生きていてもいいかしら日記 (PHP文芸文庫)」という一冊。POPに手書きされていたのが、「とにかくP14『乳の立場が無い』を3ページ読んでください!」という紹介文。その通り3ページ読んでみたら、この一冊にすっかり取り憑かれてしまった。POPを見て即買いしたのは久しぶりだ。

この本は簡単にいうとエッセイ集なのだが、 ひとつの話が3ページ程でまとめられている。まるで、北大路さんの日記を覗いているような感じだ。一話は3ページなのだが非常に中味が濃くて楽しくて、その中に何だかとても大切なことが書かれているような書かれていないような絶妙な内容なのだ。

好きなものは昼酒。座右の銘は「好奇心は身を滅ぼす」という著者が、自身が過ごす北海道での毎日の出来事などを綴っている。朝はなぜ眠いのかに関する考察、お酒を飲むとなぜ携帯電話と財布が忽然と姿を消すのかの考察、父親との絶妙にすれ違う会話など日常の出来事がつらつらと書かれていてすんなり読んでいくことができる。

私は夜寝る前に布団で読んでいたが、不思議と幸せな気分になることができて、毎晩数話読んだだけで夢の世界に移ることができた。

私はお酒が飲めずタバコも吸わず、早寝早起きが好きで、一つのことをコツコツと続けるのが好きだ。つまり、エッセイ集に書かれている北大路公子さんとは(失礼ながら)真逆な性格と生活なのだが、だからこそ惹かれるものを感じてしまうのだ。憧れ?いや、ちょっと違うか。

解説で恩田陸さんが「(自分の年齢と)プラスマイナス一歳の圏内に違いない」と書かれているが、私も読み進めながら同じように感じる部分があった。私は恩田陸さんより数歳上。北大路公子さんはたぶん同世代。恩田陸さんも北大路公子さんも私とは比べ物にならないぐらいすごい人達だが、多分同年代だろうなと思うことで勝手に親近感が湧いてきてしまった。

親近感が湧いたので、北大路公子さんの書かれる本も全制覇してみようかなと思う年の始まりだ。 

生きていてもいいかしら日記 (PHP文芸文庫)

生きていてもいいかしら日記 (PHP文芸文庫)