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「佐藤ジュンコのひとり飯な日々」(佐藤ジュンコ)を読んで仙台の街を再訪したくなった

旅と味覚は記憶のなかでシンクロすることが多い。 旅先で食べたご当地料理はなおさらで、訪れたことのある土地の写真を見て食べた料理を思い出すことも多い。その逆もしかりだ。だからこそ、旅先ではその土地ならではの料理を必ず食べることにしている。そんな、旅と味覚を感じさせられる一冊と出会った。

何気ない日常を柔らかく切り取った一冊 

「佐藤ジュンコのひとり飯な日々」表紙

旅先で買った文庫本がきっかけとなって、同じ著者の他の著書が読みたくなった。そうやって入手したのが、佐藤ジュンコさんの 「佐藤ジュンコのひとり飯な日々 (コーヒーと一冊)」という一冊だ。コミックエッセイというジャンルの一冊だが、佐藤ジュンコさんご自身が持たれている独特の空気感が素敵だ。

元々は仙台で書店員をしていた佐藤さんだが、年賀状を出し忘れたことをフォローするために手書きのマンガで近況を書いたのがコミックエッセイの始まり。それをコピーして知人・友人に配り始めたところ、なかなか面白いと評判になり「月刊佐藤純子」を発行するようになったのだとか。

著者ご自身は意識されていないかもしれないが、客観性を排除して「佐藤ジュンコさんの目を通した世の中」を描いているところが最高に良い。”誰がどう思おうが自分はこう感じている”というブレないものを感じさせられるからだ。 

例えば、仙台ロフトと同じビルに入っている喫茶店「キングストン」の紹介ページ。メニューや店内の雰囲気を紹介する中で、「晴れた日には窓際の席へ ガラスに描かれたロゴの影がテーブルに映ります」という一コマがある。著者の日常が垣間見えるとともに、日頃から通っているからこそ紹介できる内容だなと感じた。このコマの絵を見ただけでも喫茶キングストンに行きたくなる。

そのほかにも様々なお店や料理が登場するが、それを「自分目線」で紹介していて楽しい。かと言って自分の好みや考え方、感じ方を強く前面に押し出すのではなく、ふんわりと柔らかく切り取っているのも特徴だろう。だからこそ佐藤ジュンコさんのファンが増えていくのだと思う。

前回ご紹介した「月刊 佐藤純子」に引き続きこの一冊を読ませていただき、私もすっかり佐藤ジュンコさんのファンになってしまった。できることなら、一度お会いしたいなと思っているぐらいだ。

佐藤ジュンコのひとり飯な日々 (コーヒーと一冊)

佐藤ジュンコのひとり飯な日々 (コーヒーと一冊)

 
月刊佐藤純子 (ちくま文庫 さ 44-1)

月刊佐藤純子 (ちくま文庫 さ 44-1)

 

本の作りにも特徴がある

付録の栞と小冊子

この本は、東京自由が丘と京都に事務所のある株式会社ミシマ社が出している「コーヒーと一冊」というシリーズの一冊だ。書籍というよりは冊子と呼んだ方がしっくりとくるかもしれない。素敵なしおりと手書きの小冊子がセットになっている。

角が丸められた書籍

シリーズすべての冊子が100ページ前後となっており、サッと読みきることが出来るというものだ。冊子の角が丸く処理されていて丁寧な作りの冊子でもある。

このシリーズには出版社としての想いが込められており、どれもなるほどその通りだなと思える内容だ。ぜひ目を通していただきたい。

「コーヒーと一冊」のHP 

仙台は良い思い出がある街

仙台名物「ずんだ餅」

仙台は仕事で3回ほど行ったことがある街だ。最近だと昨年の春先に1泊2日の日程で打ち合わせのために出向いたが、移動のために乗ったタクシーの運転手さんがとても親切で、「食べ物で名物は何ですか」という何気ない質問にも大いに悩んで真剣に答えてくださった。

また、仙台駅の中で目的のお店が分からなくなり、通りがかりの女性に方向を訪ねたところ、わざわざお店の前まで案内してくださった。私がよほど困った顔をしていたのかもしれないが、仙台の方々はそもそも人に優しいのだと思う。私の仙台に対するイメージは「優しい人が多い街」だ。

仙台では「ずんだ餅」と「牛タン」を食べたが、甘い物好きの私は「ずんだ餅」がすっかりお気に入りになった。甘くてまろやかで、それでいて素朴な味が最高だ。今でも東京でずんだ餅を見かけると仙台で出会った優しい方々を思い出し、仙台の風景をテレビなどで見るとずんだ餅の味を思い出す。

「佐藤ジュンコのひとり飯な日々」を読み、今年も暖かくなったら仙台に行ってみたいなとふわりと思った。今度行くときには、仕事ではなくプライベートな旅をゆっくりと楽しみたい。