東京は大都会だがビルが立ち並んでいる場所ばかりではない。数十年前に九州から上京した時には、 新宿や渋谷などのビルが立ち並ぶ都会の姿をイメージしていたが、実際に東京に住んでみると「意外と緑が多いな」と感じたことを思い出す。
特に中央線沿線を八王子方面に進んで行くと、新宿から10分も行かないうちにのんびりとした雰囲気の街が現れるのが楽しい。西荻窪もそんなのんびりとした雰囲気の街だが、駅から10分ほど歩いた場所に居心地の良い文具店がある。
身近な文具類が並ぶ西荻窪の小さな文具店「トナリノ」
JR中央線「西荻窪駅」の改札から南口を出て、飲食店や衣料品店などが並ぶ道をテクテクと歩く。神明通りにぶつかったら左折して歩くこと5分弱、小さな公園を過ぎて児童館などを過ぎて、そろそろ住宅街っぽくなった場所に「文具雑貨店 トナリノ」がある。
2013年にオープンしたこのお店は、オーナーが「いつもとなりにおいてほしい」と感じた文具類や雑貨類を取り扱っている。デザインの良さや使い心地の良さを考えて、国内外からセレクトした商品を揃えているそうだ。
通りに面した部分はガラス張りになっていて、明るい店内がよく見える。道路から店内が良く見えるので、スーッとお店に入ることができる。こういったお店の中には、初めて訪れた時に入るのを一瞬ためらってしまうお店もあるが、オープンな雰囲気の「トナニノ」は初回でも気兼ねなく入ることができる。
棚の商品をひとつひとつ見ているだけでも楽しい
店内に一歩足を踏み入れると、それほど広くはない店内にたくさんの文具類や雑貨類がズラリと並んでいる。棚を一つずつ見て歩くだけでもワクワクする感じだ。奇をてらった商品があるわけではなく、ノートやボールペンなど普段使いに必要な商品が多いのも良い。
それでも、ムーミンのイラスタが入ったツバメノートが置いてあったり、ラミーのボールペンや万年筆、外国製の色鉛筆やポストカード、可愛いマスキングテープが置いてあったりと、外国の文具店を覗いているような感覚にもとらわれる品揃えで見応えがある。
それでいて気取った雰囲気はどこにもなくて、昔出入りしていた近所の文具店のような居心地の良さがある。外国製のあまり見かけない商品があるだけではなく、いつも仕事や勉強のために使っている商品が並んでいるなど、バリエーションの多さがその雰囲気を醸し出しているのかもしれない。
周辺は昔ながらのお酒屋さんや衣料品店などが並び、のんびりとした雰囲気の場所。駅前の喧騒から離れれば離れるほど個性的なお店が現れるので、散策をしながら街歩きを楽しむのも良いだろう。
「トナリノ」は気軽に入ることのできる、西荻窪の街に溶け込んだ素敵なお店だった。
■「トナリノ」
住所 東京都杉並区西荻南1-18-10
電話 03(5941)6946
営業 11:00〜20:00 第1・第1水曜日定休
お店オリジナルの手帳は、紙製品老舗のLIFE製箔押し手帳だ。厚みがある手帳は手の平に馴染んで持ちやすく、書き心地も滑らかな手帳だった。こういった店舗オリジナルの商品を探すというのも、文具店めぐりのひとつの楽しみ方なのかもしれない。