9月に入って雨の日が続いている東京地方では、湿度は高いものの気温は一気に下がってきた。気がつけば今年も残り4ヶ月となってきたが、季節は徐々に本格的な秋に向かっていくのだろう。秋雨の時期が過ぎれば澄んだ夜空が期待できるが、今年の中秋の名月は月末なので秋空が広がる日を心待ちにしたい。
今年の十五夜は9月27日の日曜日
「中秋の名月」という言葉や「十五夜」という言葉を聞くと満月を思い浮かべるが、今年の中秋の名月は9月27日(日)で満月の一日前だ。これは、月の大きさではなく暦を基に中秋の名月を決めているからで、必ずしも満月の人は限らない。
旧暦では7月から9月までが季節的に秋とされているが、その3ヶ月のうちちょうど真ん中の8月15日が中秋の名月と呼ばれている。旧暦は月の満ち欠けを、新暦が太陽の運行を基準にしているため、 2015年の中秋の名月は新暦でいうと9月27日にあたる。 ちなみに、直近で中秋の名月と満月とが重なるのは2021年になるようだ。
十五夜の風習はいつから始まったのか
「十五夜」とも呼ばれている中秋の名月を愛でる風習は、いつごろから始まったのだろうか。十五夜の風習自体は、9世紀末から10世紀始めの平安期に中国から伝わってきたが、当初は宮中や貴族の間で行われる風習であり一般的ではなかったようだ。
それが庶民の行事として一般的に広く行われるようになったのは江戸時代。江戸の文化といえば庶民文化が花開いた時代なので、十五夜が庶民の年中行事として広まったのも粋な江戸文化があったからかもしれない。たらいの水に月を映して鑑賞したりと、江戸文化ならではの月見を楽しんだという記録も残っている。
旧暦では7月から9月までが「秋」とされていて、そのちょうど真ん中の8月15日を中秋と呼んでいる。そして満月に近い月を見る時に、高くもなく低くもなくちょうど良い高さに月があり、天候が安定していて空が澄んでいる秋が月見の季節となったといわれている。
五穀豊穣を願って静かに月を愛でる中秋の名月は、日本にある素敵な風習のうちのひとつだなと思う。
静かにのんびりと月を愛でてみたい
地方によって様々のようだが、一般的にはススキを飾って月見団子や里芋、お酒を供えて月を眺めるという形が一般的だろう。庶民の行事となった江戸時代から豊作を願う行事として定着したらしいので、収穫されたものを供えて天と地に感謝の気持ちを伝えたのだと思う。
今年の十五夜は日曜日の夜だが、騒がしい現代だからこそのんびりとゆっくりと月見を楽しむということは贅沢な時間の使い方かもしれない。