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先が見通せない時代だからこそ『残心の精神』を大切にする

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15年ほど前から契約しているのが「日本講演新聞」という薄い新聞。各地で行われる講演の内容を主に掲載している新聞で、以前は「みやざき中央新聞」という名前だったのでそちらの方をご存知の方もいらっしゃるかもしれない。

特徴的なのは「良い話だけが掲載されている」という点で、事件や事故などの情報は一切無く、読んでホッとするような話が中心となって構成されている見開き4ページの新聞だ。発行も2週間に一度となっている。

社説を含めていつも心に響く記事が掲載されているのだが、先日の社説で『残心』という言葉が取り上げられていてなかなか興味深い内容だった。

日本特有の『残心』という考え方

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『残心(ざんしん)』とは日本の武道および芸道で用いられる言葉で、『残身』や『残芯』と書くこともある。「日本講演新聞」では弓道の例を引用して説明されていた。

弓道には射術の基本ルールとして「射法八節」という教えがある。財団法人全日本弓道連盟のホームページによると、「射法八節」とは弓道を修練する場合の基準であり法則であると書かれている。また、「8つの動作は区分されていますが、終始関連して一つの流れを作り、動作と動作の間が分離・断絶してはなりません。 一射を一本の竹に例えると、竹に8つの節(ふし)があるのと同じこと。つまり、8つの節は相互に関連する一本の竹でありながら、一節(ひとふし)ごとに異なった8つの節であることを意識することが大切なのです。」とされている。

その「射法八節」の8番目に『残心』があり、「射の総決算。矢が離れたときの姿勢をしばらく保つ」とある。また「矢を発しても姿勢を変えず気合を抜かない」ともされている。つまり、「矢を放つ」「的に当たる」という行為や目的が終わったとしても、それで一気に気を抜くのではなく静かに徐々に元の心持ちに戻していくという意味もあるようだ。

私も子どもの頃に剣道を習っていたが、そのときの先生が常に「打ち終わった後の姿勢と心構えが大切だ」と語っていた。「面!」と打ち込んで一本取ったとしても、その後に気を抜かず綺麗な姿勢で相手の背面に走り込むということを教えられた。

この『残心』は「技を終えた後も余韻を残す」という日本の美学や禅に通じる概念とも言われていて、「日本講演新聞」ではそれがいろいろな面で日本人特有の行動として現れていると書かれていた。その一つが映画館のエンドロール。映画が終わってから映画の余韻に浸ってエンドロールを眺めるのは日本人特有の行動で、諸外国ではエンドロールが流れると拍手が起こって会場が明るくなったり、一斉に席を立って帰る人がほとんどという国もあると書かれていた。確かにそういう面はあるのかもしれないなと感じた社説だった。

 『残心』でコロナ禍をしのぐ

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現在の世の中の状況を見ると、コロナ禍で感染者数が再び増加し、東京のみならず各地で過去最高の感染者数を更新しつつある。緊急事態宣言が発令されてからは在宅勤務や外出自粛がしっかりと行われていたが、解除されて「自粛疲れ」と呼ばれるように会食や旅行をする人が一気に増えたことも一因だろいう。

『残心』ということ踏まえてを考えると、感染拡大防止のために取った行動で感染者数が相当数減ったとしても、一気に気を抜くのではなく静かに徐々に元の状態に戻していくということが大切なのかもしれない。相手の面を打ってもなお気を抜かず姿勢を変えない。そんな『残心』の心で暑い夏を過ごした先に、身も心も穏やかになる秋がやってくることを願いたい。