誰しも、年令にかかわらず「懐かしい文房具」があるだろう。子どもの頃に、必ずと言って良いほど買ってもらえるものの筆頭が、文房具類だからだろう。私は実家が文房具屋だったので様々な商品を目にする機会があり、買ってもらえるもの以外にも印象深い文房具があった。その一つが壊れない筆箱だ。
一世を風靡したアーム筆入
「象が踏んでも壊れない」という驚きのコマーシャルで一世を風靡したのが、サンスター文具の「アーム筆入」 だ。1965年(昭和40年)に販売を開始し、2年後の1967年(昭和42年)からテレビコマーシャルが流れ始めた。
1967年と言えばカラーテレビが一般家庭に波及し始めた頃だが、テレビコマーシャルはまだまだ地味で商品をそのまま写して宣伝することが多い時代だった。そのなかで「象が踏んでも壊れない」というキャッチフレーズとともに、実際に象が踏んでいる映像が流れたのでかなりインパクトが強かった。
当時小学校の低学年だった私には、ある意味では高嶺の華のような商品だった覚えがある。いろいろなものが脆くてすぐに壊れていた時代なので、たとえ筆箱とはいえ「象が踏んでも壊れない」というのはすごいもんだなと思ったものだ。
それにしても、筆箱を橋の上から投げ落としたり頭でガンガン叩いたりと、丈夫なことを証明するためとはいえなかなか乱暴だ。今ならクレームがつきそうな内容だが、当時はただ単にすごいなと話題になったのだから、ある意味ではのんびりとした時代だったのかもしれない。
現在も販売されているロングセラー商品
懐かしいなと思っていたら、現在でも「NEWアーム筆入」として販売されていた。形も昔懐かしいそのままだが、良く見るとやはり少しデザインも変わっているようだ。
それでも蓋をしたまま消しゴムを取ることのできる中蓋など、昔懐かしい仕組みはそのまま搭載しているようだ。これは懐かしいなと思ってしまった。
価格的にも現在販売されている他の新商品に比べて、半額ほどの値段だというのも手軽だ。それだけシンプルな作りなのだろうし、材料も布地などに比べると割安なのだろうと思う。
最近では自立式のペンケースが人気だったり、大容量のペンケースが学生に人気だったりしている。小学生用でもカラフルなものや多機能のものなどが販売されているが、アーム筆入れのようにシンプルなものも逆に目新しくて良いかもしれない。