時代によって、文房具の価値というのは微妙に変わってくる。値段や材質が変わるということもあるが、贅沢品なのかどうかという括りが変わることがある。
例えばシャープペンシル。昭和40年代や50年代の中学生はシャープペンシルを使うことが少なく、基本的には鉛筆を使っていた。学校がシャープペンシルを禁止していたという事情もあっただろうが、シャープペンシルがまだまだ贅沢品だったということもあるだろう。
それ以外にも「贅沢だな」と思える文房具類や事務用品はいくつもあったが、キングジムの「テプラ」はその中でも間違いなく高嶺の花の道具だった。
学生は「ダイモ」でせっせとアルファベットを刻んでいた
http://dymo.seesaa.net/upload/detail/image/dymo_2.jpg.html
「テプラ」の話の前に、昔はどのような道具を使っていたかを思い出してみた。学生時代も会社に入ってからも、私が一番使っていたのは「ダイモテープライター」という道具だった。
プラスチックのテープが入っていて、ハンドル部分をカチッと握ると上面に示された文字が白く立体的にテープに打刻されるというものだ。円盤状になった文字盤を指で回してセットし、表示された文字を一文字一文字打刻する。文字盤はアルファベットの大文字・小文字やひらがな・カタカナなどがあった。
ノートや筆箱などに名前を書く場合でも、汚い字で手書きするよりも断然カッコ良くて、一文字ずつカチカチと作っては貼ったものだ。漢字を打刻することができないので長い文章は打てないが、名前や番号などはお手のものだった。
最近は使われなくなったのかと思いきや、まだまだ人気の道具だ。レトロ感覚で楽しむというのではなく、事務室の電源コードに取り付けるタグに貼り付けたり、サーバ室のサーバ機器に取り付けるコードのタグに認識番号を貼るのに便利なのだとか。電源が不要で静電気が発生しにくく、軽量コンパクトなのが重宝されているのだとか。
もちろんレトロ感覚で楽しむのも楽しいし、アイデア次第では色々なことに使えるのだろうなと感じた。最近ではさらに小型で安価なものが発売されているので、それを一つ引き出しに入れておいても便利だろう。

ダイモ テープライター キュティコン 9mm幅テープ対応 英数字、打刻可能 イエロー DM20008
- 出版社/メーカー: ダイモ
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高嶺の花が安くなってきた
さて、テプラの話である。テプラが世の中に登場したのが1988年のこと。 世界初の漢字ラベルライターとして誕生したが、当日は一文字ずつ入力する方式だった。それでも、活字で文字をタイプしていた時代なので「手軽にラベルを作ることができる」というテプラは人気になった。
http://www.kingjim.co.jp/popup/products/tepra/gallery/tr55.html
当時発売された初代テプラの価格が16,800円。大卒の初任給が15万円ほどだった頃の話なので、割と高価な事務機だったことが窺える。その後、Proシリーズが発売されるようになって一気にテプラは市場に出回るようになった。1992年以降のことだ。この頃になると、職場に一台テプラが置かれている感じだっただろうか。
ちなみに我が家のテプラは、1998年に発売された「テプラPRO SR323」という家庭用の機器だ。 発売されてすぐに購入したので、もう18年も頑張ってくれている。当時の定価が12,800円だったようだが、ディスカウントショップで8,000円ほどで買ったのではなかっただろうか。
翌年に生まれた息子の育児道具などに貼り、その後学校用品などに貼るなど現在まで大活躍してくれている道具だ。
今では数千円で手元におけるテプラも登場
「テプラは高価だ」というイメージだったのも今は昔。最近では個人ユースのテプラも続々と登場してきている。
http://www.kingjim.co.jp/sp/coharu_mp20/
5月19日にキングジムから新たに発売された「こはる」は、とてもコンパクトで可愛いテーププリンターだ。販売価格は6,800円(税別)。個人でも十分気軽に買える価格だろう。
http://www.kingjim.co.jp/sp/coharu_mp20/
家庭で手軽に使うことをコンセプトにしてることもあって、家の形をした形状が特徴的テープカットボタンが“煙突”、液晶画面やプリントボタンが“窓”、電源ボタンが“ドア”の形というのはそれだけでも所有欲をかき立ててくれる。
さらに「テプラLite」なら実売価格で4,000円を切るというお手頃ぶりだ。テープが感熱方式で字がカスれてきてしまうというレビューもあるが、この価格で手頃にテープを作られるのであれば購入を検討する価値はあるだろう。
「今やテプラは『高嶺の花』ではなくなってきたんだな」と気がついた。手軽に引き出しにぽこっと入れておける道具になったのである。