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弱いロボットにこそ力があることを障害者メディア「コトノネvol.22」で知った

ロボットは万能だ。そんなイメージがどこかにあるだろう。しかし、世の中に万能な人間が居ないのと同じように、ロボットであっても万能ではない。逆に不完全なロボットだからこそ役立つということもあるようだ。

弱いロボットだからこそ力がある

豊橋技術科学大学の岡田美智男教授は、「弱いロボット」を作ることで有名な方だ。「弱いロボット」とは何か。動画を見ていただければその一旦がお分りいただけると重いうが、直接的には人の役に立っていないロボットだ。役に立っていないのに、だからこそ実は役に立っているのだというのが面白い。

小さな3体のロボットは、周囲の人などと会話するわけではない。ロボット同士で「トーキョーではもう雪が降ったらしいヨ」「トヨハシにも雪降るカナ?」と世間話をしているだけだ。それなのに引き込まれてしまい、癒されてしまう。  

このほかにも、ゴミの近くまで自走するのに自分ではゴミが拾えないロボットや、ヘンテコな返事しかしないロボットなど「弱いロボット」が登場する。いわゆる「使えないヤツ」なのだが、だからこそ人の心を動かすし世の中の役に立つというロボットたちだ。

豊橋技術科学大学のホームページにある岡田教授のページには、「ロボットが完璧なほど人は傲慢(ごうまん)になりやすく、完璧でなければ人の配慮や優しさ、工夫や行動を引き出す道具にもなり得ると言えるでしょう」という言葉がある。その言葉が非常に重いし深い。ロボットだけではなく人間も同様だろう。

もちろん、弱いものを見て助ける人ばかりではない。逆な行動に出る人もいる。それでも、それを見て「悪いことだ」と思うこともまた必要なのだろうと思う。

「弱いロボット」を見て、色々なことを考えたが皆さんはいかがだろうか。

たくさんの気づきをもらえる季刊誌「コトノネ』 

「コトノネ」表紙

定期購読をしていて毎回楽しみにしている雑誌「コトノネ」は、2012年1月に創刊された障害者関連の季刊誌で、徐々に各地の書店で見かけるようになってきた。謳い文句のとおり、読むと楽しくて元気が出る情報がたくさん詰まった雑誌だ。

元々は、東日本大震災で被害を受けた障がい者及び支援施設の復興支援を目的として創刊され、被災地にある就労支援施設などの状況も随時掲載されている。最近では農業のことや就業の仕組みのことなど、「人」から少し離れた情報も掲載されている。

今回の表紙は冒頭でご紹介させていただいた「弱いロボット」。ティッシュを配るロボットだが、気が弱くてなかなか手渡せない。ついには、人が自らティッシュを受け取りにいってしまうというもの。ほっとけないロボットなのだ。

従来の障害者メディアや福祉関連誌では絶対に取り上げない題材だ。だからこの雑誌は面白い。

■コトノネグラビア
「まっちゃきの生前葬」
■特集 誰かに会いたくて、話したくて、今日も商店街へ
「売り場」から「広場」へ
電信通り商店街(北海道帯広市)
桐ヶ丘中央商店街(東京都北区)
■シリーズ 農と生きる障害者12
農業とともに「矯正の場」から「終の棲家」へ
公益財団法人喝破道場
■連載「『脱福祉』から『超福祉』」へ19
パイオニアが、目指した頂
榊原典俊(社会福祉法人青葉仁会)
■連載「ぶっちゃけインタビュー」
豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 教授 岡田美智男
「弱いロボット」だから、できること
■自然栽培パーティ
天空の茶畑で、人なつっこい自閉症青年に会った
社会福祉法人いぶき福祉会
■シリーズ 障害者の就労事例21
銀行の星

この雑誌の素晴らしいところは、編集長も編集者も読者も雑誌の発刊とともに成長していることだろう。

もともと、編集長も編集者も障害者雇用や福祉のことには詳しくなかったのだそうだ。だからこそ、取材内容も掲載される記事も写真も、すべてが真摯であり読者目線なのだなと感じる。

非常におこがましい言い方になってしまうが、障害者メディアを発行することによって発行する側が障害者や福祉に関して詳しくなっていく。それが手に取るようにわかるのだ。

こういった分野の雑誌というのは爆発的に売れるものではないだろうが、だからこそ大切にすべきだと思うし大切にされるべきだと思う。こういった雑誌がきちんと読まれる社会こそ、正しく成長している社会だろう。 

コトノネ vol.22

コトノネ vol.22