「カタログ」というと、多くの人が写真に機能や価格が添えられているものを思い浮かべるだろう。 最近では電子カタログも一般的になってきて、デジタル端末やスマホなどで簡単気軽に見られるようにもなってきている。商品を選ぶのに便利なカタログだが、ひとつひとつの文房具をカタログのように取り上げた書籍が読んでいて楽しい。
文房具愛に満ちあふれた一冊
いろいろな文房具を独自の視点で捉えたのが、高畑正幸さんの書かれた 「究極の文房具カタログ」という一冊だ。手書きの文房具類がちょっとレトロな雰囲気で、それでいて写真よりも現実味がある。
高畑さんは部類の文房具好きで、TVチャンピオン「全国文房具通選手権」で3度の優勝を誇る文具王としても有名だ。この番組に出演したのがキッカケで、文房具の企画開発の仕事をするようになったのだそうだ。
そんな高畑さんがご自身でイラストを描き、使い心地や商品自体の魅力を綴っている。文房具愛に満ちた一冊と言えるだろう。
紹介されている文房具類は、オーソドックスなものから見たことの無い珍しいものまで76アイテム。ひとつひとつの商品が丁寧に紹介されているほか、所々に書かれているコラムも独自の視点で書かれていて面白い。
文房具好きは、ともすると好きな道具に関して熱く語りすぎてしまうことがある。相手も文房具好きなら良いが、そうでない人なら迷惑極まりないだろう。お酒が飲めない人に対して日本酒の良さを熱く語り、「お酒が飲めないなんて人生の楽しみの半分を知らないようなもんだ」と言ってしまうようなものだ。
私もその傾向があるので気をつけたいところだが、高畑さんの本にはそういった行き過ぎた熱さがない。それでいて文房具の良さがじんわりと読み手に伝わるというのは、さすがに文具王の文具愛を感じる。
この道具が欲しくなってしまった
紹介されている76アイテムのうちで、私が一番気になったのがこの商品。「リーブル 竹ゆびわ」という竹でできた商品で、これを人差し指にはめて紙を折るときに使うという道具だ。
PCが一般的になってきてファイルベースでやり取りをすることが多くなったが、会議資料やパンフレットなど紙媒体での作業はまだまだ多い。A3版の資料を半分に折ってもう一度折り返す作業というのは、誰しもやったことがあるのではないだろうか。
数枚を折るのなら指で押さえていくという方法もあるが、これが数十枚の資料を折るとなると指が痛くなってしまう。かといって定規などで作業をすると、強く折すぎたり汚してしまったりということにもなりかねない。
その点、竹であれば軽量なうえに丈夫で、表面がなめらかなので紙が痛むこともない。特に原稿用紙など薄手の紙を折るときには重宝するだろう。
無いと困るものではないが、あると便利な小物。こう言った道具に琴線が響くというのは、我ながらなかなかの文房具好きになってきたのかなと思う。
こちらもオススメです
文房具関係の書籍といえば、土橋正さんの書かれた本も良い。文房具関係のカタログ的書籍であったり活用術であったりという内容だが、文房具好きにとっては何回でも繰り返し読みたくなる本だろうと思う。