万年筆を本格的に使うようになり、インキもコンバーターを取り付けて使っている。だいたい週一回のペースでインキを補充しているが、どうしてもペン先などにインキがつくので手入れが必要だ。インキを吸い終わってからはペン先と首軸を拭き取るが、素早く綺麗に拭き取れる専用の商品を使ってみた。
コンバータ式だとベン先と首軸が汚れてしまう
万年筆のインキ補充方法には、カートリッジ式とコンバーター式とがある。カートリッジ式はインキの入ったカートリッジを挿すだけだが、コンバーターを取り付けた場合にはインキ壺にペン先を入れて吸入することになる。
この時にペン先だけではなく首の部分(首軸)まで入れる必要があるため、インキを吸い上げた後にどうしても首軸部分にもインキが付いてしまう。また、カートリッジ式でも使っているうちにペン先が汚れることがある。
そんな時にはテッシュペーパーや柔らかい布などでふき取るのだが、指にインキがついてしまったり繊維がペン先に挟まってしまうこともあって少々難儀だ。
インキを入れるのもなかなか気を使う作業である。
ふき取り作業を「美しい所作にする」商品
万年筆のペン先を綺麗にするために作られたのが、神戸派計画の「SUITO cleaning paper」という商品だ。2015年日本文具大賞の機能部門グランプリを獲得した商品でもある。
商品コンセプトは「ペン先のインクもれを拭きとる作業を『美しい所作』に高める」となっており、機能性だけではなく使うシーンもイメージして作られている。
この商品は「吸取紙」で作られている。万年筆で文字を書いた後に、インクが他の紙や手につかないように上から押さえるために使う吸湿性の高い商品だ。
その吸取紙が24 x 48 mm の小さな紙片になっており、また、ペン先にフィットするようUの字に切り抜かれている。紙片の中央には折り目が刻まれているので、縦に折ってまずはペン先を綺麗にする。
ペン先が綺麗になったらインクのついていない部分を丸め、首軸についたインキをふき取る。ティッシュペーパーなどを使うするよりも格段に作業が速く、綺麗にふき取ることができるのが特徴だ。
常に持ち歩いておけば、出先や職場のデスクなどでもサッと取り出して使えて便利だ。何よりも「ペン先や首軸を拭く所作が美しい」というのは、使っていて楽しいということにつながる。
ほんのちょっとしたことだが、インキを入れる作業の楽しさにさらに楽しさを加えてくれる商品だと思う。
新たな視点での商品開発
文房具を選ぶときに機能性を重視するのは当然のことだが、それ以外にも「持っていて楽しい」という点も文房具選びの楽しさの一つだろう。
さらに、今回ご紹介した商品は「使う姿を美しくする」というコンセプトを持っている。使う姿をコンセプトにした商品というのは目新しく、こういう商品開発のストーリもあるんだなと感心した。
万年筆を使う理由は書きやすいということもあるだろうが、使っていること自体が楽しいというのもあるだろう。その点が、ボールペンやシャープペンシルとの違いだと思う。また、インキを入れる作業も同様で、万年筆には「使う楽しさ」がある。その「使う楽しさ」を持ち込んだのが、今回ご紹介した商品だろう。
こういったユーザ目線での商品開発というのも、愛好家にとっては琴線を刺激される部分ではないだろうか。