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売る場所をイメージして文具の新商品を作るのも効果的だというお話

 新商品開発というのは、ゼロから何かを生み出すような部分が多いのでとにかくたいへんだ。 どうせ作るなら良いものを作りたい。良いものが作れたらたくさん売りたい。新商品開発を行うにはいろいろな方法があるだろうが、先日出かけたショップで伺った話は「売る場所をイメージしてから作った」という興味深いお話だった。

 売る場所と購入客をイメージする 

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 本日5月27日まで渋谷ヒカリエに出店している「HUMORA(ユーモラ)」。福祉作業所などで作られた授産品の雑貨などを置いてあるセレクトショップだが、レジ横の棚には文房具類もいくつかならんでいた。

 その中でも目を引いたのが、可愛い絵が施されたチケットホルダーと一筆箋。楽器や音符が並んでいて、ポップでアートな雰囲気が漂う文房具類だ。

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 A5版よりも一回り小さいクリアファイルは、裏側に蓋がついていてチケットホルダーとして販売されていた。オレンジを基調とした色合いは気分が明るくなり、コンサートチケットを入れて持ち歩くのが楽しくなりそうだ。 

  デザインに携わったのはABLE ART JAPAN(エイブル・アート・ジャパン)というNPO法人で、障がいのある方々が描かれたアートを使った商品開発を行っている団体だ。このチケットホルダーも障がいのある方が描かれたイラストを使っており、コンサートの楽しげな様子がイメージされている。

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 同じくバッハの似顔絵などが施された一筆箋も音楽がテーマの商品だが、いずれもコンサート会場やチケット売り場などで販売することをイメージして作られた商品だ。

 新商品を考えるときには、その時々の流行であったり万人受けするような便利なものを参考に考えがちだが、「顧客の客層から商品を考える」というのはなるほどなと頷ける話だった。

 美術館や博物館などのミュージアムショップでは、展示中の作品にちなんだ商品が並んでいることが多いが、そういったプロセスで考えられた商品は来場者の目をひくだろう。当たり前のことながら、ついつい見逃しがちなことだとも思う。

 新商品などを考えるときにはターゲットとなる客層(ペルソナ)を十分に考えることが大切で、ショップに訪れる人はどのような商品が好きなのか、どのような商品を求めて訪れるのかをまずは考える。まさに顧客志向の商品開発と言えるだろう。

 自分が好きなタイプの商品を企画したり販売したりすることも良いだろうが、「買う側の視点」に立って考えるというのも重要だなと感じた。

素朴で惹きつけられるイラストの数々

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 一筆箋に使われているイラストは、どれも素朴な雰囲気で惹きつけられるものばかりだ。福祉作業所等で作られた商品というと、いかにもという感じの素朴なものも多いが、素朴な中にも無条件で惹きつけられるものがアートと呼べるだろうか。

 アートというものには縁遠く、芸術的なセンスも持ち合わせてはいないが、それでも私のような凡人がハッと惹きつけられるというのがアートの力なんだろうと思う。

 商品価値を高めるには素材の良いものを使ったり特殊な技法を施すという方法もあるだろうが、デザインやアートを活用することで商品価値が高まるということもある。どちらが良いということではなく、いろいろな方法を知っておくことが商品を開発する場面で必要となるのだと感じた。

商品には想いと物語も必要だと思う

 最近の100円ショップなどでは、色々なものが安価に買えるようになった。日用雑貨から台所用品、文房具から工具類まで置いていないものはないと思えるほど商品が充実している。

 そのなかで、価値のあるものを高い値段で売っていくというのはなかなか大変なことだと思う。同じ用途で使える同じような素材の商品が100円で売っているとすれば、それと同様の商品を高い値段で買ってもらうためには「他に無い何か」を付加する必要がある。

 買い手は商品の用途ではなく付加された「他に無い何か」を買っていくということになるので、心に響く「何か」を明確にして付加することが重要だ。

 それは商品が出来上がるまでの「物語」であったり、商品に対するつくりての「想い」であったりするのだろうが、それをそのまま前面に出すのではなく、買い手が共感するような仕立てにするという工夫も必要ではないだろうか。

 商品開発というのは、つくづく奥が深くて「これが正解」というものがない世界なんだなと感じた。