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通説が真実とは限らない「本能寺の変431年目の真実」

 小学生の頃からいろいろな歴史を学んでくるが、通説となっていることが実は真実ではないとすると、それはとても怖いことだなと思う。今回はそんな怖さを感じる一冊を読んだ。

■本能寺の変に関する真実

 今日ご紹介するのは「本能寺の変431年目の真実」という一冊。本能寺の変で織田信長に謀反したとされる明智光秀の子孫である著者が、さまざまな資料を基に本能寺の変を考証した一冊である。

【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)

 本能寺の変といえば歴史の教科書だけではなく、物語やドラマにもたびたび取り上げられているが、それが真実かどうかの検証を行っている。

【内容情報】(「BOOK」データベースより) 名門・土岐明智氏の行く末に危機感を抱いていた光秀。信長の四国征伐がさらに彼を追いこんでゆく。ところが、絶望する光秀の前に、天才・信長自身が張りめぐらした策謀が、千載一遇のチャンスを与えた!なぜ光秀は信長を討ったのか。背後に隠された驚くべき状況と、すべてを操る男の存在とは!?新事実をもとに日本史最大のクーデターの真実に迫る、壮大な歴史捜査ドキュメント!

 内容的には新書のような構成になっているが、明智光秀の人物象や生い立ちなどにもふれられており、小説を読んでいるようで飽きることなく読める。

 ひとつひとつの出来事や残された書物などを丹念に考証していくことで、今までとは異なった事実に行き着く。本書はそいうったことの大切さを含めて訴えかけてくる。

 本書に書かれていることがそのまま事実だ受け止めるのもまた早計だが、納得できる部分も多く、なるほどこういう捉え方も必要なんだなと感じさせられる一冊だった。

■歴史が誤って解釈されることの怖さ

  今まで「本能寺の変は明智光秀の個人的な恨みによる謀反」という解釈が一般的だったが、本書でも書かれているとおり、考えてみればそんな単純なことで物事が動くのかという疑問を持つ。

 さまざまな検証を行うことで過去の事実が明らかになる過程は読んでいて楽しいが、一方で歴史認識が偽りだったのではないかちう点に怖さを感じる。

 近代史でも「あの出来事の事実は間違っていた」というようなことが時々あるが、解釈によって国際問題に発展している例もあるし、それが現在の政治のために意識的に歪められているとすれば問題の根は深い。

 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とはドイツの首相であり貴族でもあったビスマルクの言葉だが、歴史自体が歪められているとすれば賢者ですら愚者になりうるということではないだろうか。

 「ネットで流れる情報は一旦疑ってかかれ」という言葉もあるが、自分自身で見聞きしたこと以外はすべて一旦疑ってかかるというぐらいの気持ちが必要なのか。

 それも味気ないような気がするが、それでも必要なことなのかもしれない。

【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)

【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)