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「ごめん。」(加藤 元)

素敵な内容の本を買ってじっくりと読む。できれば何日かに分けて読むのではなく、物語に没頭して一気に読み切ってしまう。本好きの方にとっては、こういう時間を過ごすのは贅沢なことなのではないだろうか。私も読書が好きなので「没頭して一気読み」という時間を過ごすのは大好きなのだが、「素敵な内容の本」と「じっくりと読める時間」と「一気読みできる気力」の三つが揃わなければ実現しない。

「素敵な内容の本」は自分の好きな作家さんの本であれば高い確率で出会える。緊急事態宣言でおうち時間が増えている今は「じっくりと読むこのとできる時間」も、いろいろと家庭の事情はありながらもなんとかなりそうだ。個人的に一番問題なのは「一気読みできる気力」。睡眠不足だったり体調が悪かったりすると気力が湧かないし、心配事などがあっても本を読む気にならない。暑すぎても寒すぎても気持ちが乗らないので、好きな作家さんの素敵な本を一気読みできる機会というのは案外少ないものだ。

逆に、だからこそ、そういった機会が訪れるととても得した気分になって、今日はなかなか良い日だったななどと自己満足に浸ることもできる。ちょっとしたことだが、本好きの私にとってはささやかで小さな幸せだし、精神的な安定度のバロメーターにもなっている。 

ごめん。 (集英社文庫)

加藤 元さんが書かれた「ごめん。 (集英社文庫)」は、久しぶりに一気読みをした素敵な内容の物語だった。「ごめん」という三文字が題材となった連作短編集で、人の心の中にある強さや弱さや哀しさなどが丁寧に綴られた素敵な物語だ。

連作短編集はたくさんあるが、今回読んだ「ごめん。」は全11話という話数の多さも特徴で、それぞれの物語の主人公がすべての物語に共通しているという点も興味深い。また、ある物語の中では無気力だった登場人物が、他の物語ではとても頼もしい活躍をする人物であったりと、人は単見る人、関わる人によって見方が変わるのだという当たり前のことを改めて教えてもらった。

第一話は学生服専門の用品店で働く吉本佑理が主人公。彼女は幼い頃から本好きで、友達と遊んでいるよりも一人で本を読んでいる方が好きな「変な子」だった。大人になってもその性格は変わらず自分の時間を静かに過ごしていたが、職場で無神経な発言を繰り返すセクハラ上司のせいで気持ちが沈みがちだった。そんなある日、セクハラ上司に対して「無礼ですね」と毅然とした態度で言い返した青年がいた。彼は出入りの配送業者の青年だったが、そんな彼に対して佑理は好感を持ち、それがきっかけで距離を縮めることになった。しかし、ちょっとした一言でちょっとした行き違いが出てしまうのだが、それでもそこから二人の素敵な付き合いが始まった。

第二話以降も、第一話の中に登場する人物や、その人物に関連する人物が主人公となるのだが、 読んでいる最中に胸に響く言葉が出てきたり、登場人物を探して前のページをめくったり、そして読み終わってからは心の中がふわっと暖かくなったりと、とても素敵な時間を過ごさせてもらった。

題材が「ごめん」という謝りの言葉なのだが、謝るということがどういうことなのかを改めて考えさせてくれるという意味でも、単に素敵なだけではなくてとても大切なことを教えてくれる一冊だった。

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