今年もまた国際文具・紙製品展(ISOT)が、東京ビッグサイトで三日間にわたって開催された。毎年たくさんの文具や紙製品が展示されるが、このイベントで行われる「日本文具大賞」も楽しみだ。今年も素敵な商品が優秀賞を受賞したが、その中でもデザイン部門でグランプリを受賞したのが書き味抜群の素敵な「原稿用紙」だった。
飾り罫が素敵な原稿用紙
デザイン部門でグランプリを受賞したのが、あたぼうステーショナリーの「飾り原稿用紙 碧翡翠」という原稿用紙だ。いろいろな紙製品が毎年グランプリを受賞しているが、原稿用紙というレガシーな商品が受賞したというのは意外だった。
しかし、商品の説明を読むうちに書き心地の良さと飾り罫の美しさを知り、なるほどグランプリを受賞するだけの商品なんだなと感じた。最近、万年筆で文字を書くことが楽しくなってきただけに、早々に取り寄せて使ってみることにした。
カワセミ(翡翠)をあしらった飾り罫はとても素敵で、単なる事務用品としての域を超えている。A4版原稿用紙の左下には川面の枝にとまるカワセミが、左上には飛び立った姿のカワセミが描かれている。
飾り罫も清流の流れを思い起こさせる綺麗な線が使われていて、見ているだけでも楽しくなる原稿用紙だ。
実際に万年筆二種類を使って、お気に入りの小説のお気に入りのフレーズを幾つか書いてみた。中字のペン先も細字のペン先も滑らかに紙の上を滑り、それでいてしっかりとした書き心地を味わうことができた。また、インキの色も綺麗に発色するうえに、インキの乾きが早くて当然のことながら裏写りもしない。
現在ペン字練習を行っているが、今よりも綺麗な字を書けるようになったら、さらにたくさんの文字をこの原稿用紙に書いてみたいと思う。
ブックカバーとして使っても良し
飾り罫が綺麗なので文庫本のブックカバーとして使ってみたが、紙質が良いのでしっかりとしたブックカバーになった。原稿用紙のマス目もなんだかオシャレだ。
原稿用紙の中央が背表紙の部分に来るので、ここに書籍のタイトルを書いても良いかもしれない。カワセミが魚を獲って空に舞い上がる姿も、ワンポイントとなっていて良いなと思う。
経営コンサルティング会社が作った文具
今回、2016年の文具大賞デザイン部門グランプリの「飾り原稿用紙『碧翡翠』」を製作販売している株式会社あたぼうは、文具メーカーではなく経営コンサルティング会社だ。
代表取締役の佐川博樹さんが自分自身のため作ったシステム手帳が評判となり、2009年に「スライド手帳」として販売を開始。それからは、経営コンサルティングと文具メーカーの二本柱で会社を運営されている。
そのスライド手帳が縁でライターの小日向京さんと出会われ、また別の機会にじゃばら伝道師と呼ばれる「horirium」さんとも出会って「飾り原稿用紙」が誕生したのだとか。人と人とのご縁というのは不思議で大切だなと思うし、紙自体の質感などにこだわる方々が作られた原稿用紙だからこそ使って楽しく使いやすいんだなと感じた。
「飾り原稿用紙」はA4サイズなので持ち運ぶのにもかさばらない。私は物書きではないが、物書き気分で思いついたことやブログネタなどを書き留めるのにも使ってみようと思う。使い方一つでいろいろな用途に楽しめる原稿用紙だ。