アウトドアが好きで時々山に登ったりキャンプを楽しんだりしているが、関東周辺では季節的にはアウトドアシーズンにももう少し。3月に入れば多少寒いものの、雪が積もらない場所を選んで焚き火でゆっくりとした夜を過ごすことができる。
しかし、そうはいっても毎週毎週キャンプ場に行くわけにもいかない。焚き火のゆらゆらする炎を見るのが好きな方向けに、部屋で焚き火を楽しめるセットが販売されているのでそれで我慢するという方法もある。
■揺らぐ炎を楽しむ
卓上焚き火セットなどユニークな商品を販売しているのが、富山県高崎市の会社が運営しているネットショップ「はんぶんこ(HANBUNKO)」。「職人と職人、職人とあなたをつなぎます」というコンセプトのもと様々な商品を扱っている。
(http://hanbunko.org/takibi-kihon)
最近見かけた商品の中で「これは面白いな」と思ったのが「焚き火ろうそく(基本セット)」という商品。部屋の中で焚き火を楽しんでみようというコンセプトの商品だ。
(http://hanbunko.org/takibi-kihon)
“心も暖まる屋外の焚き火を卓上のろうそくで再現します。基本セットはより屋外に近づけるために、生の火にこだわっています。”
(http://hanbunko.org/takibi-kihon)
ろうそくの中に焚き火になる木片が入っていまるが、それ以外に追加で燃やす追薪もそろっていて、じっくりと楽しむことができるようになっている。こちらは焚き火ろうそくの元になる富山県産杉の小さい薪。こだわっているなと思う。
焚き火台や焚き火皿は富山県の名産品を使って製作されており、こういったこだわりの商品というのは面白いなと感じた。
■なぜ人は焚き火が好きなのか
私が子どもの頃はいたるところで焚き火が行われていた。昭和40年代の九州の片田舎では、煙で迷惑するということが無かったということもあるだろう。冬場は焚き火で暖をとりながら、燃える炎を飽きずに見ていたことを思い出す。
また、当時のお風呂は五右衛門風呂というやつで、大きな釜のようなお風呂に水を張り、外の焚き口から薪を入れてお風呂を沸かしていた。時々、竹を入れては大きな音で破裂させて母親に怒られたことも懐かしい。
炎はあっという間に燃え広がって恐ろしいものだが、それをコントロールするすべを当時の人は誰しも持っていた。もちろん中にはコントロールできずに火事になってしまうということもあっただろうが、日常の中に火や炎があったのは間違いない。
暖をとる、調理をする、お湯を得るなど、炎からの恩恵を受けていた時代には炎を大切にしていた。炊事場のかまどには神様がいると言われていて大切にしていたし、子どもが夜に火遊びをしていると「おねしょをするよ!」と叱られていた。それでも、先祖代々の仏壇にあるロウソクに火を入れるのは子どもに任されていたりした。
最近ではオール電化の家も珍しくなくて、自分でライターを使って火をおこしたことのない子どもも多いと聞く。それはそれで時代なので単純に善し悪しは語れないが、人が火や炎から遠ざかってしまったのは事実だ。
だからこそ、焚き火の炎を囲むと大人は懐かしさを覚え、子どもは目新しいものに目を輝かすのかもしれない。炎を恐れるのではなく「畏れる」ということを、焚き火を通じて次の世代に伝えることも意味のあることではないだろうか。