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スピード感があって一気読み!「嘘ですけど、なにか? 」(木内一裕)

もうすぐ4月1日。学校は新学期になり、企業的にも新年度を迎える会社が多い。大晦日から元旦にかけて新年を迎える時ほどではないが、新たな学年や年度を迎えることで、気分も切り替わるタイミングではないだろうか。日本にはこういった物事をリセットすることを良しとする風習がある。いわゆる「水に流す」とか「過去を振り返らない」というような前向きな風習なのだが、元旦や4月1日という区切りをつけられる日があるというのは、何となく精神衛生上でも良いなと思う。

また、4月1日は“嘘をついても許される日”「エイプリルフール」としても有名だ。エイプリールフールの起源には諸説あるようだが、罪のない嘘やエンターテイメント的な情報であれば気分も明るくなって楽しい。以前、イギリスのBBCが「空飛ぶペンギン」のフェイクニュースを流したのは有名な話だが、近年では日本でも他愛のないフェイクニュースを流しようになり、ようやく「楽しく正しいジョーク」が固定されてきたのがなと感じる。嘘は嘘でも、他愛のない心から楽しめる嘘や冗談は、ストレスの多い現代では大歓迎だろう。

嘘ですけど、なにか? (講談社文庫)

木内一裕さんが書かれた「嘘ですけど、なにか? (講談社文庫)」は、主人公が平気で嘘をつく編集者だという物語だ。嘘といっても「嘘も方便」といえるような嘘なのだが、そんな他愛のない嘘が主人公の周辺を徐々にきな臭いものに変えていく。

主人公の水嶋亜希は、32才独身の文芸編集者。有能な彼女は作家からも信頼されており、困ったことに遭遇したりスランプに陥いったりするると亜希を頼ってくるほどだ。有能な彼女だけに、休みもろくに取れずにトラブル対応のために飛び回る日々が続く。そんな忙しい彼女が、ある日スマートで素敵なエリート官僚と偶然出会い、急速に接近していく。しかし、ある日思いがけないことで彼の秘密を知った亜希は、悩んだ末に警察に駆け込むが、逆に彼女が凶悪犯として疑われてしまう。彼は本当にエリート官僚なのか、何が真実で何が嘘なのか。亜希を取り巻く状況が、急速に危険な方向になだれ込んでいく。

登場人物の誰もが個性的で、誰もが感情を剥き出しにしているのが面白い。だからこそ展開が速く感じられるし、ハラハラドキドキする感覚を味わうことが出来る。次々と事件が起こる展開の速さと伏線の多い展開とが合間って、思わず一気読みしてしまった一冊だ。オススメです。

嘘ですけど、なにか? (講談社文庫)

嘘ですけど、なにか? (講談社文庫)