人が生まれてから最も早く手にする文字を書く道具は、おそらく"鉛筆"だろうと思う。いや、クレヨンだ、色鉛筆だという声があるかもしれないが、「文字を書く」という目的であればやはり鉛筆だろう。
それがいつしかシャープペンシルになりボールペンになり、鉛筆が身近なものではなくなるというのもひとつのパターンかもしれない。それでも、資格試験などでたまに鉛筆を使う機会があると、その持ちやすさと軽さと書きやすさに驚かされる。
鉛筆は木の温もりを教えてくれる、エコで森を思い出させてくれる道具でもあるのだ。
削ると桜の花びらが舞う「さくらさくえんぴつ」
http://www.sun-star-st.jp/private_brand/sakurasaku_pencil.html
サンスター文具の「さくらさくえんぴつ」は、同社が開催しているコンテストでの入賞作品が商品化されたものだ。発売以来人気のある商品で、9月以降も発売が継続されることが、先日もニュースリリースされていた。
http://www.sun-star-st.jp/news/61/20th_p_a11.html
この商品は、断面が桜の花びらをイメージした形状になっており、 色もソメイヨシノとカワヅザクラの二種類が用意されている。
http://www.sun-star-st.jp/private_brand/sakurasaku_pencil.html
それだけでも素敵なのだが、鉛筆をナイフで削ると、削った部分が桜の花びらのような形状になるのがさらに面白い。最近ではナイフで鉛筆を削るということはなくなってきたが、これなら楽しみながら削ることもできそうだ。
鉛筆は単なる「書くための道具」ではなく、書き心地なども含めて「楽しむための道具」になってきたのかもしれない。時間をかけて丁寧に一本ずつ削り、大切に使っていく。そんなことを楽しめる商品だなと思う。
鉛筆を削るのに使っていた道具
私が子どもの頃に使っていたのは「肥後の守(ひごのかみ)」。何にでも使える万能の道具だった。小学生の頃でも筆箱に入れて学校に持参していたが、だからといってとがめられることはなかった。のんびりとしていた昭和の話だ。
鉛筆を削って工作にも使い、小枝や蔦を切るのにも使ってと大活躍だったが、だからといって切れ味が良いわけではなかった。今の肥後の守はなかなかの切れ味だが、当時の商品は今ほど鋭くはなかったような気がする。逆に切れ味は悪かったからこそ、キチンと指を当ててグッと押すように使っていたのだろうと思う。河原の石で研ぐこともやっていた。
当時は道具は使うものだったのだが、最近のナイフでも文房具類でも、機能が良すぎて「使われている感」を覚えてしまう。だからこそ、あえて「鉛筆を削って使う」ということに興味を持つのだろうと思う。それもまた、きちんと歳をとってきた証拠だ。