「安かろう悪かろう」という言葉がある。「安物買いの銭失い」という言葉もある。安いからといって、品質が悪い品物を買うのはお金の無駄遣いだ。値段が高ければ品質が良いとは単純に言い切れないのだが、素材の良さと技術の高さが確かなら価格が高くなるのは当然のことだろう。
石職人の作った「無垢材の鉛筆とトレイ」
鉛筆10本と木のトレイがセットになった、五反田製作所の「樹木鉛筆 BOSCO(HB)」という商品。価格が1万円という、鉛筆と木製トレイのセットとしてはかなりの高額商品だ。
五反田製作所は家具製造販売の会社で、特に椅子作りに関しては世界的な仕事を数多く請け負ってきた会社だ。その会社が作った鉛筆とトレイのセットは、椅子職人の「木の持つ性格について、なるべくわかりやすく手で感じて貰いたい」という想いから生まれた商品。
家具などに使用される木材を軸材として作られた鉛筆は、鉛筆10本と木製トレイ全てが異なる無垢材から作られている。木の種類によって違う手触りや重さ、質感、香りなどを比べるて楽しむことができるセットだ。
■鉛筆素材:ヒノキ、ローズウッド、ウダインカンバ、ウォールナット、チーク、ミズナラ、マホガニー、アフリカンパドック、ナーラ、ケヤキ
■トレイ素材:イタヤカエデ
天然木を使用しているため反りや捻じれが生じる場合があり、鉛筆を削る際にも手動の鉛筆削り器や小刀等でゆっくり削る必要があるようだ。それもまた、一本一本が出作りされた商品だからこそだろう。
気軽に買うことのできる価格ではないが、一度は使ってみたいなと思わせてくれる高級筆記具だ。
鉛筆は木のぬくもりがダイレクトに楽しめる筆記具だ
サンスター文具からは、軸の断面が桜の形をしているさくらさくえんぴつという素敵な筆記具が発売されている。断面が桜の形をしてるだけではなく、鉛筆削りで削った時の削りかすが桜の花びらに似ているという点も評判になっている商品だ。また、「北星鉛筆 大人の鉛筆 」のように鉛筆を意識したシャープペンシルもある。
最近では折れないシャープペンシルや、ノックをしないで書き続けられるシャープペンシルがある。さらに、マークシート用として太い芯のシャープペンシルも人気だ。それでも鉛筆が廃れないというのは、やはり木の持つ温もりや香りというものに心和まされるからだろうか。
筆記具の中でもシャープペンシルの進化は凄いものがあり、それによって受ける恩恵も素晴らしいものがあると思う。それでもなくならないのが鉛筆で、なくならないどころか「シャープペンシルとセットで使う」という方向に行くのかもしれない。それだけ木の温もりは素晴らしいと思うのだが、いかがだろうか。