業務上のミスや誤った行為など、重大な事故や事件につながりそうな状態を「インシデント」と言います。事務作業では、例えば郵送物の誤発送や振込先誤りなどがあります。手作業が発生する場面ではインシデントに繋がるミスがどうしても発生しやすいのですが、そんな時に最も大切なのは「インシデント情報を迅速にエスカレーションする」ということです。
ミスを隠すのは論外ですが、上司などへの報告の遅れは対策の遅れに繋がりますし、ミスをカバーしようとして新たなインシデントを起こしかねません。まずは状況を整理して、発生した事象の概要やと影響の範囲、影響度合いなどを迅速に報告する必要があります。誰しも自分が起こしたミスは報告しづらいものですが、それだけに迅速な報告には職場の「心理的安全性」が必要となります。
「心理的安全性」は最近いろいろな場面で耳にする言葉ですが、どのような意味があるのでしょうか。これは、組織行動学を研究するエドモンドソン教授が1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義されています。言い方を変えると「ミスや困り事を報告しても、責められたり叱られたりせず、安心して相談ができる状態」のことでしょうか。
「心理的安全性」が担保された職場では、問題が発生するとすぐに上司やリーダーに報告が上がり対策が打たれます。また、ミスを発生させた本人が責められることがなく、逆に迅速に報告をあげたことが称賛されます。そういった「心理的安全性」が担保されている職場に共通しているのは、上司やリーダーと部下とのコミュニケーションが十分とれていて、上司やリーダーが「心理的安全性」を十分に理解しているという点です。さらに「ミスは起こした人が悪いのではなく、システム(仕組み)が悪い」という認識を上司やリーダーがしっかりと持っていて、そのことが職場全体に認識されているという状態が好ましいのではないでしょうか。そうなることで、「生き生きとした働きやすい職場」が作られていくのだろうと思います。
新年があけて年末年始の休暇も終わり、新しい年の仕事が始まりまし。今年も一年明るく楽しく仕事をして行くためにはどうしたら良いかを考えたときに、やはり「心理的安全性」の担保が最優先なのだろうと考えています。簡単なことではありませんが、目指すべき事柄だと思いませんか?