手話を勉強し始めたのは10年近く前だが、地域での講習会に通っていた際には手話だけではなく聾者の歴史なども学ぶことで障がい理解を深めていた。知識や技能として手話を覚えるのではなく、なぜ手話が必要なのかという根本的なことを学ぶことができたのはとても意義のあることだった。その際に学んだ聾唖学校の校長先生の実話の映画化が、クラウドファンディングで支援を募集している。
「ヒゲの校長」映画化
クラウドファンディングサイトのキャンプファイアーで支援を募集しているのが、「「ヒゲの校長」権力に負けず手話を守った実話を映画化。多様な文化が共存する社会に」というプロジェクトだ。
映画の主人公である髙橋潔さんは、大正末期から昭和にかけて大阪市立聾唖学校の校長先生を務めていた方だ。手話を使わず発語と読唇とで意志の交換を行う「口話法」が推し進められていた時代に、子どもたち一人ひとりの能力、障がいの程度に応じて手話を含めた色々な手法を学ぶ「適正教育」を推進した人だ。一言で「推進した」と言っても、時代は総理大臣も含めて「口話法」を是とする世の中。その中で、校長先生でありながら「適正教育」を推し進めていくのは並大抵のことではなかったことが容易に想像できる。
手話講習会のカリキュラムとしてこの話を知った時は非常に感銘を覚えたが、その実話が映画化されて大勢の人に知ってもらうのはとても意義のあることだ。障がいの有無に関わらず個々の個性を尊重するダイバーシティが求められている現代だからこそ、「ヒゲの校長」が映画化されることはとても意味のあることでないだろうか。私も些少ながら支援をさせていただいたが、今から映画の完成が楽しみだ。