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「ミッキーマウスの憂鬱ふたたび (新潮文庫)」(松岡圭祐)

その昔、ディズニーランドのセキュリティオフィサーを経験されていた方と一緒に仕事をしたことがある。もう60歳近い方だったが、長年勤められた会社を早期退職してディズニーランドで数年アルバイトをし、それから改めて営業職として再就職をされた方だった。ランニングを趣味とされている方で、とても物静かで優しくて、スポーツ刈りで若々しく、日に焼けたまさにスポーツマンという雰囲気だった。

ある日、どうしてディズニーランドに勤めたのかを尋ねたところ、「若い頃から技術職で人と接することの少ない仕事だったので、早期退職したことをきっかけに真反対のことにチャレンジしてみようと思った」とのこと。真反対の仕事とは何だろうと考えたときに、ちょうどテレビに映っていたディズニーランドのキャストが目に飛び込んできて、「これだ!」と思われたのだそうだ。

ディズニーランドで2年間働かれたとのことだが、自分の子どもと同じ年ごろのメンバーと一緒に仕事をして今までにない経験で毎日ワクワクしていたと、物静かに、しかし目を輝かせて話をされていたのが印象的だった。

それだけディズニーには人を惹き付ける何かがあるのだろうが、いまその方と同じ年代になってみると「ディズニーで働きたい!」と思うチャレンジ精神が素晴らしいし、常に前向きに生きているからこそ輝いていらっしゃったんだと思う。

ミッキーマウスの憂鬱ふたたび(新潮文庫)

松岡圭祐さんが書かれた「ミッキーマウスの憂鬱ふたたび(新潮文庫)」は、ディズニーリゾートが舞台の物語だ。前作の「ミッキーマウスの憂鬱(新潮文庫)」では、ディズニーランドのバックステージをここまで題材にして良いのかと驚かされたが、今回も前作に負けず劣らずディズニーランドの魅力と舞台裏を惜しげなく披露している作品だ。

物語の主人公は、東京ディズニーランドで清掃のアルバイトをしている永江環奈。彼女は学校での部活やクラス内でのスクールカーストに嫌気がさし、高校を卒業するとディズニーランドのキャストとして働くことを選択する。しかし、そこでも同じように職業ごとのヒエラルキーが存在しており、本当にこれで良いのかと憂鬱な日々が続いていた。母も姉もディズニーランドでの仕事を単なるアルバイトとして見ておらず、笑顔で働くことに誇りを感じていた環奈の心をおちこませていた。

ある日、彼女はテーマパークの顔として活躍するアンバサダーに誰でも立候補できることを知りエントリーする。不可能だと言われながらも、周囲の仲間に後押しされて徐々に自信をつけていく。独自のスキルを磨き上げて徐々にアンバサダー候補の中で脚光を浴びるようになるが、突然の命令でそのスキルを使えない状況に陥ってしまう。

ディズニーランドのバックヤードを舞台とした物語だが、決してディズニーランドの魅力を落とすことなく、逆に「一度は働いてみたいな」と思わされるような素敵な物語だった。そして、頑張る環奈や応援するシルバー人材の久保などのやりとりを読んでいるうちに、ついつい「頑張れ!」と心の中でエールを送り、読み終わった時には心の中にすっきりとした爽快感を感じた一冊だった。

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