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「偶然屋 」 (七尾 与史)

JR新宿駅で私鉄に乗り換えるために改札を出た時に、高校の同級生とばったり出会ったことがある。九州の片田舎にある高校を卒業してからかなりの年月が経っていたが、お互いに一眼見た時に同級生だと分かった。週末の大混雑した改札前だったので、出会う確率を考えると本当に低い確率だったのだろう。ばったり出会ったのも偶然ながら目が合ったのも偶然で、こういうことがあるだなとお互いに驚いたことを思い出す。

それ以外にも、10年以上前に一緒に働いていた方と交差点でばったり会ったり、たまたま話をした相手と同じ出身校だったりと、世の中には「偶然」がいたるところに転がっている。また、偶然を装って誰かと再会するというのは、テレビの世界だけではなく現実の世界でも時々有って、それによってビジネスを発展させたり恋愛を進展させたりするとういこともあるだろう。それを考えると、世の中の出来事は偶然の積み重ねで出来ていて、それが本当に偶然なのか誰かが仕掛けたことなのかは別にしても、歴史だけではなくここの人生にも「もしも」という分岐点があるんだなと思う。

偶然屋 (小学館文庫)

七尾与史さんが書かれた「偶然屋 (小学館文庫)」は、「クライアントの求めに応じて『偶然』を作り出す仕事」を題材として物語だ。ありそうでなさそうな仕事だが、あったら面白いだろうなとは思える内容だ。

弁護士へのチャレンジを断念して就活を行なっていた里見は、電柱に貼られていた募集広告を見て面接場所に指定された錦糸町のパチンコ店に出向く。指定された通りパチンコを打っていると思いがけず大当たりをしてしまい、それが元で店員の女性と仲良くなり彼女の悩みを解決することになる。それが「偶然屋」の採用試験だったのだが、雇い主の油灰や戦闘能力の高い美女中学生クロエとともに、クライアントの求めに応じた『偶然』を「アクシデントディレクター」として対応していく仕事に就くことになった。

この物語は『偶然』を装って恋愛成就などのセッティングをするというストーリーの他に、同級生や知人を巧みに操って犯罪を起こさせる悪魔のような人物のストーリーとが並行して進み、それが徐々にひとつのストーリとしてまとまってくる。まるで、別々の小川を流れていた水が、気がついた時には大きな川に合流して大きな流れになるような巧みさにワクワクする。それぞれのストーリーもミステリー仕立てであったりアクション仕立てであったりと趣が違うのだが、人の心に棲む闇のようなものも感じてそれぞれのストーリーに興味を惹かれる一気読み必須の一冊だ。

実際にこういうことが起きるかもしれないなという怖さと、そういった事件に巻き込まれたくないなという怖さとがじわじわと迫ってくるような感覚を覚えた。続編もあるのでぜひ続きも読んでみたいなと思った。久しぶりに個人的には☆5つ付けたい作品だ。

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