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「ぼくにはこれしかなかった。」(早坂大輔)

会社員として働きはじめてから、かれこれ40年近くが経った。入社以来ひとつの会社に勤めているのだが、各地への転勤を含めてよくもまあこんなに長くひとつの会社で働いたもんだなと思う。だからと言って一度も会社を辞めたくなったことがない訳ではなく、誰しもそうなのだろうが何回か本気で辞めたくなったことがあった。

ある時は人間関係が原因であったり、ある時は仕事に対する不満であったり、ある時はプライベートなことで心が折れたりと理由は様々だった。それでも辞めずに現在に至るのは、ひとつにはその時々に励ましてくれたり慰めてくれたりする人が近くにいたからだと思う。人のご縁には恵まれていてあるがたい。

また、本好きの父親の影響で子どもの頃から読書が好きで、友達にいじめられたり親に叱られたりして落ち込んでも、図書館に行って本を読めば気持ちが元気になっていた。大人になったからも同様で、気分が落ち込んだり嫌なことがあったりしても、小説やノンフィクションやエッセイなど様々な書籍から元気をもらったり良い気づきをもらったりしてきた。本好きに育ててもらったことは、私にとってひとつの財産だなと思う。

そんなこんなで、働き始めてもうすぐ40年。一つの会社で頑張ったからこそ幸せなこともあったが、諦めなければならなかった夢や憧れもたくさんあった。どの選択が正解だったかはわからないが、これから働らく若者や働き始めたばかりの若者などは、色々な人の色々な働き方を知ることが大切だろう。それによって、良い気づきをもらうということはあるだろうし、読んだ本の数だけ良い気づきは得られるのだろうと思う。

ぼくにはこれしかなかった。

盛岡に独立系の本屋を開店した早坂大輔さんが書かれた「 ぼくにはこれしかなかった。」は、本屋を開店するまでのことや開店してからのことなどを綴ったエッセイだ。この本に出会ったのは、シェアキッチンでコーヒー焙煎店を営んでいる知人のお店。自分のお店を出すことを目指して頑張っている彼から、「とても素敵な本ですよ」と言われて手に取った一冊だ。

早坂さんは会社名勤めをしていて、ある程度のポジションまで行った方だが、2017年に40歳をすぎて盛岡に独立系の本屋を開店した。盛岡は早坂さんの故郷ではなく以前からお気に入りだった街なのだそうだが、会社を辞めて、融資を受けて、開店準備をしながらニューヨークに本を買い付けに行くなど精力的に動いたというのだからすごい。

また、書店でのアルバイト経験もなく出版社にも勤務したことがない早坂さんだ、自身のお店を経営しながら様々なイベントを企画し、独自の商品を開発し、地元の作家さんの本を出版するなどマルチな活躍をされている。店名の『BOOKNERD』は『本オタク』という意味だそうだが、早坂さんの選ぶ本を求めて盛岡まで訪ねる人がいたり、書籍やグッズを求めて通信販売をする人も多いようだ。

そう書くと「スーパーマンのような人」というイメージを持つかもしれないが、本書には悩み苦しみ、時には弱音を吐く著者の気持ちが真摯に綴られていて共感を感じる。なぜサラリーマンを辞めたのか、お店を開店してからは順風満帆だったのか否かなど、一人の人間としての早坂さんの姿はエッセイではなくドキュメンタリーと言っても良いだろう。

いまはコロナ禍で世の中が不安定で、これからの生き方や働き方に悩んでいる若い方も多いだろうが、本書を読むことでそういった悩みに対しての一つの参考になるのは間違い無いだろう。また、私のようにこれから第二の人生を迎えるという年代の者にとっても、もういっちょ頑張ってみるかなと元気をいただけた一冊だった。

ぼくにはこれしかなかった。

ぼくにはこれしかなかった。

  • 作者:早坂大輔
  • 発売日: 2021/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

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