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「定年入門: イキイキしなくちゃダメですか」(髙橋秀実)

会社員であれば誰しも、いつかは「定年退職」を迎える。かくいう私もあと数年で定年退職になるが、定年退職後のプランはまだ何となくぼんやりとしている感じだ。

私が入社したのは昭和の最後の頃で、携帯電話どころかパソコンもワープロも無く、ようやくコンビニが街に建ち始めた頃だった。その当時に定年退職になる方は「第二の人生をのんびり過ごす」という方が多くて、好きな趣味に没頭したりボランティア活動にいそしんだりされる方が多かったような気がする。40年ほど前の話だ。

現在では定年後に再就職するのが当たり前の時代になり、企業に対しても来月2021年4月からは定年が65才まで引き上げられ70才までの雇用が努力義務となる。希望すればかなりの年令まで働くことの出来る世の中になっていくので、定年後の「のんびりと余生を過ごす」という生き方はいまや過去の遺物となっているのかもしれない。

定年入門: イキイキしなくちゃダメですか (ポプラ新書 た 9-1)

超高齢化社会を迎えた日本では、医療費問題や年金問題を含めて、高齢者がどのように社会に貢献していくか、どうすれば健康な毎日を過ごせるかが社会的な課題となっている。そのため、定年退職後の生活や健康に関する書籍も数多く出版されている。

高橋秀実さんが書かれた「定年入門: イキイキしなくちゃダメですか 」もその一冊で、フリーライターの高橋さんが企業を定年退職になった方々のインタビューをまとめた一冊だ。

この手の書籍では充実した定年退職後の生活を指南するものや、定年退職後の起業に関するものなど「退職後の生き生きとした生活」を促す内容が多い。しかし、今回ご紹介する一冊はそれらとかなり趣が替わっており、「生き生きとしていない方々」が登場する。実際のインタビューを元にしているだけに、退職後の様子がリアルに伝わってくる一冊だ。

退職したあとに手帳のスケジュールを埋めるために新たな趣味を始めた方や、奥様が働いているので家事に専念する方など、決して生き生きとはしていない方々が数多く登場する。中には、時間をもて余して毎日をどう過ごせば良いか途方にくれている方や、定年退職後に充実した生活を送っているもののそこに何となく空虚感が漂う方などもいて色々と考えさせられる。

この一冊は定年退職後の生活をどのように過ごせば良いかという指南本ではなく、定年退職した人のうち“生き生きとしていない人”がどのように過ごしているかを書いたドキュメンタリーなのだろう。それを知ることによって「こういう人も多々いるんだ」と安心するか「自分はこうなりたくないな」と思うかは読んだ人次第だが、そういったことを投げかけるという意味では、今までの定年退職に関する書籍とは若干異なったインパクトを与えてくれる一冊だろう。

要は、進むも停まるも本人次第ということだろうか。

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