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胸に響くミステリー短編集「二十年目の桜疎水」(大石直記)

今年もまた桜の季節がやってくる。ジョギングをしていると早咲きの桜がちらほらと咲き始めていて、季節の足音が聞こえてくるような気がする。

桜の花が咲く季節は卒入学や転勤、退職などの時期とも重なり、別れや出会いの季節でもある。桜の花を見ると懐かしい気持ちになったり、心の中がふんわりと暖かくなるのは、別れや出会いの記憶と一緒に桜の花が脳裏に焼き付いているからだろう。

これから少しずつソメイヨシノも咲き始めて、いつものジョギングコースも徐々に桜色に彩られてくる。なかなか大手を振って花見が出来るご時世ではないが、今年もまた桜の花を見ながら昔懐かしい顔をいくつも思い浮かべてみたい。

二十年目の桜疎水 (光文社文庫)

大石直記さんの書かれた「二十年目の桜疎水 (光文社文庫)」は、これからの季節にぴったりの表紙が目を引く一冊だ。また、独特の雰囲気を醸し出した表紙だけではなく、内容も心を打つ素敵なミステリーが詰まった短編集となっている。

おばあちゃんは、ほんのささやかな小銭を騙しとる“詐欺師”だったが、私には優しくていつまでも一緒に居たいと思っていた。しかし、ある日思いがけない出来事から日常ががらりと変わってくる。(「おばあちゃんといっしょ」)

日本を離れて海外で講師を務めていた正春は、母の危篤の報を受けて二十年ぶりに帰国した。病床の母から思いがけない告白を受けた正春は、ある事故によって別れてしまった恋人の雅子に会うために松ヶ崎疎水を訪れるのだが。(「二十年ぶりの桜疎水」)

その他、「お地蔵様に見られてる」「おみくじ占いにご用心」「仏像は二度笑う」「おじいちゃんを探せ」など京都の名所を舞台にしたミステリー短編全6編が収録された一冊だ。

どの物語も見事な伏線が張り巡らされていて、ことごとく予想を裏切る結末となっている。そして、どの物語も人の心の哀しさや温かさが描かれていて、読後には胸の中がフワッと暖かくなる。そんな一冊だった。

春を迎える直前のいま、京都の名所を思い浮かべながら読める素敵な一冊だと思う。

二十年目の桜疎水 (光文社文庫)

二十年目の桜疎水 (光文社文庫)

 

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