本好きの私は、コロナ禍で週末にステイホームが続いても苦にならず、逆にのんびりと本を読んだりくつろいだりする時間が出来て楽しい。子どもがすでに一人立ちしていて、子ども部屋を自分専用の部屋にしていることもその理由の一つだろう。考えてみれば少々贅沢な話だ。
自分の部屋にしているとはいえ妻も出入り自由で、書棚やクローゼットなどは夫婦二人で使っているので第2のリビングみたいなものだろうか。在宅勤務をしたり書き物をしたり、時には机で小説を読んだりする以外は部屋に閉じこもることなくリビングで過ごすことが多い。適度に離れるのもまた、夫婦円満の秘訣かもしれない。
それはさておき、日曜日になると新聞の「日曜版」に書籍の紹介や書評が載るので、夫婦揃って本好きなので互いに読んでは次に読む本の情報を得たりしている。リビングのテーブルに新聞を広げて、書評などをじっくりと読んではその感想を話し合うのだが、自分一人で情報を探すよりも、こうやって話をしている方が入ってくる情報は多い。
先日も思いがけない事からミステリー本の話になり、そう言えばとても面白い本があったけど読んだことあるかと妻に聞かれ、読んだことがなく興味をそそられて手にした一冊があった。それがまた、非常に面白い一冊だった。
今邑彩さんの書かれた「そして誰もいなくなる 」は、ラストの数十ページが息もつかせないほど目まぐるしく謎解きが行われる物語だ。大どんでん返しが次々とやって来て、えっ?と思うことが押し寄せてくる。ミステリーとはこういうことかと思わされた一冊だ。
名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。
内容(「BOOK」データベースより)
タイトルの通り、この物語はアガサクリスティの「そして誰もいなくなった」をオマージュした物語で、その筋書きの通りに殺人事件が次々と起きてくるというストーリーだ。
同じ筋書きの通りに殺人事件が起きるとはいっても、その途中途中に様々な伏線が張られていて、物語の最後にその伏線を次々と回収していくスピード感も素晴らしい。思わず前のページをめくって読み直しするなど、ページを行ったり来たりしてしまった。
10年ほど前の作品なので、物語の中でファックスが登場したり固定電話や公衆電話が使われたりしているが、それだけ長い間読まれ続けている人気のミステリーだということだろう。
ミステリー好きがおうち時間を有意義に過ごすには、この物語は最適の一冊になると思う。