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ノンストップミステリー「逃亡刑事」(中山七里)

昔、昭和の時代に人気のあったテレビ番組で「刑事コロンボ」という外国ドラマがあった。毎回一話で事件が終了する刑事ドラマなのだが、主演のコロンボ役を務めたピーター・フォークが実に良い味を出していて、「うちのかみさんが」というフレーズはちょっとした流行にもなった。

人気の秘密はピーター・フォークの演技だけではなく、独特なストーリー展開と刑事コロンボと犯人との巧妙な駆け引きなど、観るものを引き付ける工夫が随所に盛り込まれていたからだろう。一見愚鈍でお人好しに見えるコロンボがエリート然とした犯人を追い詰めていくという展開は、判官贔屓の日本人が好きなストーリー展開だった。

また、こういったミステリー仕立てのドラマとしては珍しかったのが、犯人が誰かということや犯行の手口が番組の冒頭で明らかになっているという点だろう。視聴者は先に犯人を知り、それをコロンボ刑事が暴いていくという手法は、当時としては 斬新だった。

逃亡刑事

中山七里さんが書かれた「逃亡刑事 (PHP文芸文庫)」も、先に犯人が分かるというミステリーものとしては珍しい展開の物語だ。事件を追いかけるのは、“県警のアマゾネス”という異名を持つ豪傑な女性刑事というのも面白い。

単独で麻薬密売ルートを探っていた刑事が銃殺された。千葉県警刑事部捜査一課の高頭班が捜査にあたるが、事件の真相を知った警部・高頭冴子は真犯人に陥れられ、警官殺しの濡れ衣を着せられる。自分の無実を証明できるのは、事件の目撃者である八歳の少年のみ。少年ともども警察組織に追われることになった冴子が逃げ込んだ場所とは!?そして彼女に反撃の手段はあるのか!?

(「BOOK」データベースより)

事件の鍵となる『目撃者の少年』である猛は、両親が養育できず養護施設に入っている8才の少年だ。この少年の人物設定がなかなかの絶妙さで、物語を読み進めていくうちに徐々に少年に感情移入をしてしまった。

また、事件の展開が早くて冴子の前に次々と難題が降りかかってくるので、まさに「息をもつかせぬ展開」で物語が進んでいく。気がつくと一気読みしてしまったぐらい、テンポの良い物語だ。

逃亡刑事 (PHP文芸文庫)

逃亡刑事 (PHP文芸文庫)

  • 作者:中山 七里
  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: 文庫