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「海の家のぶたぶた」(矢崎存美)、夏の終わりに夏を感じる一冊を

文房具好きで文房具のことを中心に記事を書いているが、読書も好きなので「読んで良かった」と感じた本も時々ご紹介させていただいている。その中でもお気に入りのシリーズ物がいくつかあって、読む前から「これを読めば気持ちが和らぐ」と分かっている鉄板物のシリーズもいくつかある。今回、夏を感じる夏らしい一冊も、そういった安心して読むことのできるシリーズ物のひとつだった。 

海の家を舞台にした心温まる物語

「海の家のぶたぶた」表紙

安心して読み進められるのが、矢崎存美さんの書かれる”ぶたぶたシリーズ”。ぶたのぬいぐるみが主人公という設定ながら、ファンタジーではなく心温まる短編集だというのがシリーズを通して共通している。

今回、シリーズ26作目となる 「海の家のぶたぶた (光文社文庫)」」が発売されたが、いつも通りの心温まる内容だった。

内容(「BOOK」データベースより)

町の海水浴場に、ひと夏限定、レトロな外観の海の家ができたという。かき氷が絶品で、店長は料理上手だが、普通の海の家とは様子が違っている。店先にピンクのぶたのぬいぐるみが「いる」のだとか…?そう、ここはおなじみ、ぶたぶたさんの海の家。一服すれば、子どもの頃の思い出がすうっと蘇ってきて、暑さも吹き飛びますよ。心に染み入る、五編を収録。

「ぶたぶたシリーズ」の主人公はピンクのぬいぐるみ。バレーボールほどの大きさの可愛い"ぶた”のぬいぐるみだ。しかし、ただのぬいぐるみではなく、歩いて、しゃべって、仕事をしていて、料理が上手な優しい中年男性なのだ。

ぬいぐるみは「山崎ぶたぶた」という名前で、万能で心優しい中年男性という設定。なぜ動けるのか、なぜ話せるのかということには物語の中では言及されていないが、だからこそ物語の展開に集中することができるような気がする

今回の物語は「海の家」が舞台。色々な悩みや苦労を抱えた人々が、昭和レトロな海の家を訪れて店主のぶたぶたと出会う。出会ったことで色々なことを感じて考えるが、出会ったことでそれぞれの悩みや苦労が綺麗さっぱりと洗い流されていく。そこがシリーズを通じた基本的な設定で、読んでいて安心感を覚えるヨウソノひとつだ。

ぬいぐるみのぶたが主人公だと書いたが、短編の一つ一つに登場する人物が主人公だと言っても良いかもしれない。心を元気に暖かくしてくれる、心のサプリメントのようなシリーズだ。 

海の家のぶたぶた (光文社文庫)

海の家のぶたぶた (光文社文庫)

 

海の家にまつわる懐かしい思い出

私が子どもの頃に生まれ育った九州の地方都市は、海まで車で20分ほどの場所にある。夏には家族揃って海水浴に出かけていたが、海の家も数軒あるだけの真夏でも海水浴場は静かなものだった記憶がある。

私が泳ぎを覚えたのもプールではなく海で、波に揺られながら泳ぐことを覚えたのだが、周囲も皆同じようにして泳ぎを覚えていたような気がする。水中眼鏡をつけて潜れば、かなり先まで見渡せることのできる透明度の高い海だったので、泳いでいても気持ち良かったことを思い出す。

海水浴場の海の家で食べるものといえば、やはりラーメンとかき氷だろう。海で泳いで口の中までしょっぱくなった時のラーメンは格別で、さらにかき氷も普通で食べるよりも何倍も美味しかった思い出がある。

色々な思い出があるが、食べ物と繋がっている思い出が多いのは面白いなと思うし、私だけではないだろうなと思うがいかがだろうか。