「瓢箪から駒が出る」ということわざがある。「思いもかけないことや道理上ありえないことが起こること」であり「冗談半分で言ったことが現実になる」という意味だ。他にも「噓から出た誠」という言葉もあってこれも同様の意味だ。今年のエイプリルフールにセメダインが出したツイートが、3ヶ月を過ぎて現実の商品として世の中に出ようとしている。まさにことわざ通りの展開だ。
セメダインの「メデタイン」
祝福用セメダイン、「メデタイン」できました。
— セメダイン 【公式】 (@cemedinecoltd) 2017年3月31日
おめでたい二人が、ずっとくっついていられますように・・・。#エイプリルフール pic.twitter.com/AqVvIjZFCy
今年のエイプリルフールに流れたセメダインのツイート。接着剤の会社らしく「二人が離れないように」というフレーズで、微笑ましくなるような内容だ。結婚式姿の男女が手を繋ぎ、「メデタイン」という名称の接着剤が桐の箱に入っている。そんな写真に「素晴らしい」とうコメントが数多く寄せられた。
商品かを望むコメントも数多く寄せられたことから、セメダイン社では本気で商品化を検討。この柔軟さも素晴らしいなと思うが、こういった気の利いたツイートを流す会社であれば当然のことかもしれない。
それではということで、クラウドファンディングのMAKUAKEで出資を募ったところ、用意した支援コース140人分が募集開始からわずか4時間あまりで完了した。個数限定の商品なのでこれ以上は募集できないそうだが、この人気はすごいと思う。
実際にセメダイン社も商品化にはこだわっていて、応募者の気持ちを鷲掴みにしたようだ。中身の接着剤には「セメダインスーパーXゴールド」という水や熱などの「ストレスに強い商品を使用し、のし紙には「強力」ならぬ「協力」の文字を入れた上に「セメダインC」のデザインも隠れているという凝りっぷり。
さらに桐箱の中に並んだ商品の間隔は、「着く」の語呂合わせで29mmに、クラウドファンディングの支援額は1人あたり税込み3929円で「サンキューくっつく」にしている。また、支援した人にメデタインが届く日付は接着の日である9月29日となっているなど、細部に渡って本気っぷりが盛り込まれた商品となっている。
まさに瓢箪から駒のこの商品。おめでたい商品だと言えるだろう。
人気が凄くて追加生産も決定
まだ、あれこれ調整しなければならないこともありますので、すぐには難しいのですが、追加生産することだけ決まりました!
— セメダイン 【公式】 (@cemedinecoltd) 2017年7月24日
目標は今秋頃ですが、数量や時期についてなど、詳細は後日お知らせ致しますっ (*`・ω・)ゞ
(4~5週間お時間くださいませ。)#メデタイン pic.twitter.com/uU5AVRufq6
クラウドファンディングが4時間で完了したことも手伝ってのことだろうが、クラウドファンディング以外の追加生産も決定したようだ。公式ツイートでも「秋には追加生産される」とお知らせが流れているので、今後の商品化に向けて興味津々という感じだ。
エイプリールフールにはウィットに富んだジョークが流れるが、思わず笑みがこぼれるような手の込んだジョークは気持ちを軽くしてくれる。それが評判になって商品化されるというのも素晴らしいし、それだけ心の余裕がある人がまだまだいるということだろう。
先日も「キングジムの”円周率ノート”が復活販売になった」という記事を書かせていただいたが、文房具好きとしてはこういった「人気が出たから商品化する」という流れは大歓迎だ。
最近では政治の世界で何かと物議を醸し出しているツイッターだが、こういう盛り上がりは大歓迎。円周率ノートとメデタインに続く「瓢箪から駒」の商品が出てくることを楽しみにしたいと思う。