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「探偵の探偵Ⅳ」(松岡圭祐)/探偵業の怖さと人の心の脆さを描いた新シリーズ完結編

 暑さが厳しくなってくると、毎年ガクンと読書量が落ちてしまう。暑い中では集中力が続かず、かといって涼しい場所に行くと気が抜けたようにホワンとしてしまう。夏は読書に向かない季節かもしれないが、だからこそ一気に読めるスピード感のある小説が向いているのかもしれない。

探偵業の怖さと人の心の脆さ描いた完結編

探偵の探偵IV (講談社文庫)

 松岡圭祐さんの「探偵の探偵IV (講談社文庫)」は、書き下ろし新シリーズとして昨年11月に第1巻が発売されたが、9ヶ月目で完結編の第4巻が発売された。こういうタイプの小説家さんを「筆が早い」というのだろうか。松岡圭祐さんファンにとっては、とてもありがたいことだと思う。

 物語の主人公は、美少女の紗崎玲奈という新人探偵。妹を殺した真犯人を捜すために、「悪徳探偵を取り締まる探偵」として活動している。妹を殺した真犯人は探偵業を営んでおり、依頼者が犯罪を犯すことを知っていながら個人情報を流していた探偵であり、黒幕はそういった探偵を育てていた心理学者だということを突き止める。

 黒幕だと信じていた相手に制裁を加えた玲奈は、シリーズ第3巻で妹のように心を寄せいてた後輩琴葉の思いがけない発言で傷つき、それまで勤めていた探偵社を辞めてライバル社の社員となっていた。しかし、それまでの冴え渡る行動は見る影もなく、抜け殻のようになって動き回る玲奈。

 逆に玲奈を傷つけた琴葉は死に物狂いで非合法な調査方法を学び、自身が探偵として独り立ちすることで玲奈の心を取り戻そうとする。

  そんな時に、未成年者の非道な事件が発生し拘置所に拘留されることになる。拘留された被疑者には反省の色がなく、精神鑑定によって無罪を主張し始めていた。そんな被疑者が、警備が完璧なはずの拘置所で殺されてしまい、監視カメラにはふらふらと立ち去る琴葉の姿が録画されていた。

 琴葉の無実を証明するためと、妹を殺した真の犯人に制裁を加えるために、玲奈は再び過激な行動に走り始めるが。

  新シリーズ最終章となる第4巻は、今までと同じくスピード感あふれる展開で一気読めてしてしまった。この「探偵の探偵シリーズ」はテレビドラマ化もされるようなので、続編がでることを心から期待したい。

探偵の探偵IV (講談社文庫)

探偵の探偵IV (講談社文庫)

 

 表紙に一言

 今回の第4巻は表紙が二重になっていて、テレビドラマの番組宣伝として主演の北川景子さんがカバー写真として登場している。そのカバーを外すともう一枚正規のカバーがついていて、シリーズを通じて表紙絵を描かれてきている清原紘さんのイラストで描かれている。

 以前はテレビドラマ化や映画化が行われると本の帯にその装飾が施されていたが、最近では表紙を二重にすることで宣伝を行うパターンが多くなってきたように感じる。これはこれで効果があって広告としては大成功だったりするのだろうが、個人的には宣伝色が強くて冷めた目で見てしまう。

 小説というのは自分の中で主人公のイメージが作られるものだが、表紙絵はそれを補完してくれるものだと思っている。表紙絵を描かれる方は物語のイメージを捉えたうえで描かれるだろうから、番宣のためにそれをすべて覆うというのはいかがなものだろうかと思ってしまう。皆さんはいかがだろうか?

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